研究課題
プロテインノックダウン法とは細胞内の任意のタンパク質をユビキチンープロテアソーム系によって意図的に分解する方法である。疾病の原因タンパク質を特異的に分解できれば新しい治療法となる。しかし、プロテインノックダウン法に利用できるユビキチンリガーゼの種類が少なく、プロテインノックダウン法の適用拡大のボトルネックになっている。本研究は芳香族炭化水素受容体(AhR)のユビキチンリガーゼ活性を利用した新規プロテインノックダウン法の開発を行うことが目的である。具体的には、ユビキチンリガーゼタンパク質と標的タンパク質とに結合する分解誘導分子を開発する。本年度は計画通り、分子設計と合成を行った。ユビキチンリガーゼ活性を有する芳香族炭化水素受容体(AhR)に結合するリガンド分子(βーナフトフラボン)と分解標的タンパク質(ERα)に結合するリガンド分子(4-ヒドロタモキシフェン)をPEGリンカーで結合した分子を設計した。それぞれのリガンド分子のリンカー結合部分はタンパク質との相互作用に影響しないと考えられる部分を選択した。設計した分子の合成を行った。βーナフトフラボン部分は既知の合成を応用することで行った。4-ヒドロタモキシフェン部分の合成は以前申請者が行った合成法で行った。(Bioorg Med Chem Lett, 2012, 22, 1793-96)2つのリガンドをPEGリンカーでつなぐことで、目的の分子の合成を達成した。PEGリンカーの長さが違う2種類の分子を合成した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、分子の設計と合成を達成できた。
当初の予定通り目的の分解誘導分子の合成が完了したので、さらに標的タンパク質の違う分解誘導分子の設計・合成も行う予定である。標的タンパクとしてはCARBP-II(cellular retinoic acid binding protein II)を計画している。
所属が変わることで、29年度は経費が掛かることが予想されたので、次年度の使用額を多くしたことによる。
所属が変わることで、試薬、器具等あらたにそろえることを計画している。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (4件)
Bioorg. Med. Chem. Lett.
巻: 26 ページ: 2655-2658
10.1016/j.bmcl.2016.04.013
巻: 26 ページ: 4865-4869
10.1016/j.bmcl.2016.09.041
Bioorg. Med. Chem.,
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