研究課題
細胞内の目的とするタンパク質をユビキチンープロテアソーム系によって意図的に分解する方法がプロテインノックダウン法である。申請者はすでにいくつかのユビキチンリガーゼを有するタンパク質を利用するプロテインノックダウン法の開発を行ってきた。疾病の原因タンパク質を特異的に分解できれば新しい治療法となる。しかし、プロテインノックダウン法に利用できるユビキチンリガーゼの種類が少なく、プロテインノックダウン法の適用拡大のボトルネックになっている。本研究は芳香族炭化水素受容体(AhR)のユビキチンリガーゼ活性を利用した新規プロテインノックダウン法の開発を行うことが目的である。芳香族炭化水素受容体(AhR)は核内受容体の一つで、最近ユビキチンリガーゼ活性が確認されている。具体的には、ユビキチンリガーゼタンパク質と標的タンパク質とに結合する分解誘導分子を開発する。本年度は、引き続き、生物評価に供するための大量合成を行った。ユビキチンリガーゼ活性を有する芳香族炭化水素受容体(AhR)に結合するリガンド分子(β-ナフトフラボン)と分解標的タンパク質(ERα)に結合するリガンド分子(4-ヒドロキシタモキシフェン)をPEGリンカーで結合した分子を設計した。それぞれのリガンド分子のリンカー結合部分はタンパク質との相互作用に影響しないと考えられる部分を選択した。昨年までに開発した合成方法により生物評価に供するための大量合成を行った。タンパク質の分解活性を検討するための初歩的な実験を開始した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、分子の設計と合成を達成できている。
合成を達成したので、細胞を使った活性評価を行う。その結果を基に芳香族炭化水素受容体(AhR)に結合するリガンド分子部分と分解標的タンパク質(ERα)に結合するリガンド分子部分及びPEGリンカー部分の最適化を行う。また、ERα以外の他の標的タンパク質の分解誘導分子の設計・合成も行う予定である。標的タンパク質としてはCARBPIIを計画している。
2年前に所属が移動したので、一年間ほど実験計画を変更せざるをえず、経費の支出が当初の予定と大きく変更せざるを得なかった。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Bioorg Med Chem.
巻: 26 ページ: 6146-6152
10.1016/j.bmc.2018.11.008. Epub 2018 Nov 9.
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10.1016/j.bmc.2018.09.028. Epub 2018 Sep 24.
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