細胞内の目的とするタンパク質をユビキチンープロテアソーム系によって意図的に分解する方法がプロテインノックダウン法である。申請者はすでにいくつかのユビキチンリガーゼ活性を有するタンパク質を利用するプロテインノックダウン法の開発を行ってきた。 疾病の原因タンパク質を特異的に分解できれば新しい治療法となる。しかし、プロテインノックダウン法に利用できるユビキチンリガーゼの種類が少なく、プロテインノックダウン法の適用拡大のボトルネックになっている。 本研究は芳香族炭化水素受容体(AhR)のユビキチンリガーゼ活性を利用した新規プロテインノックダウン法の開発を行うことが目的である。芳香族炭化水素受容体(AhR)は核内受容体の一つで、最近ユビキチンリガーゼ活性が確認されている。具体的には、ユビキチンリガーゼタンパク質と標的タンパク質とに結合する分解誘導分子を開発する。 ユビキチンリガーゼ活性を有する芳香族炭化水素受容体(AhR)に結合するリガンド分子(β-ナフトフラボン)と分解標的タンパク質(ERα)に結合するリガンド分子(4-ヒドロキシタモキシフェン)をPEGリンカーで結合した分子を設計した。それぞれのリガンド分子のリンカー結合部分はタンパク質との相互作用に影響しないと考えられる部分を選択した。昨年度までに合成した化合物を用いて分解活性を検討した。その結果、分解活性があることを明らかにした。
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