研究実績の概要 |
1) CB受容体アゴニストとしてJWH-018およびJWH-073 (Huffman et al., Bioorg. Med. Chem., 11, 539 (2003)、delta-9,11-tetrahydrocannabinol (THC)(Pitt et al., JACS, 97, 3798 (1975)を既報に準じて合成した。その他は、市販品を購入した。2)検討した11種の合成カンナビノイドのうち、JWH-018, JWH-073,JWH-133, AM251, SR144528, Rimonabant, delta-9,11-THCおよび HU-210はマウスおよびヒト肝ミクロソームシトクロムP450 (CYP)と基質結合差スペクトルを与えることが明らかになり、CYPの基質になり得ることが示唆された。これらは、いずれもdelta-9-THCおよびcannabidiolと同様なType I型 (Peak ~385nm, trough ~420nm)のスペクトルを与えた。一方、AM630、CP-55940 およびWIN-55212-2は明確な差スペクトルが確認できなかった。3) JWH-018、JWH-073およびHU-210はマウスおよびヒト肝ミクロソームによりモノ水酸化へと代謝されることが明らかとなった。水酸化の位置は解析中である。4)ヒトCYP発現系による合成カンナビノイドの代謝については、予備的検討を行ったが、代謝物の生成量が微量であるため、分析方法を検討する必要があることが判明した。5)この他、平成28年度の計画には入れてなかったが、合成カンナビノイドの細胞毒性としてJWH-018、JWH-073およびdelta-9,11-THCについて検討した。前2者はマウスneuroblastoma C1300N18について検討したが、行った条件下では100μMまで顕著な毒性が認められなかった。JWH化合物については、暴露条件や細胞種を変えてさらに検討する必要がある。また、delta-9,11-THCについては、C1300N18およびヒト乳がん細胞腫由来MCF-7の両者に対して、delta-9-THCよりもやや強い細胞毒性を示した。この点については、CB受容体の関与を含めた毒性発現機構の検討が必要である。
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