研究課題/領域番号 |
16K08354
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
渡辺 和人 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (30113038)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 危険ドラッグ / JWH-018 / JWH-073 / HU-210 / HU-211 / CYP発現系 / 代謝 / 細胞毒性 |
研究実績の概要 |
1) ヒト肝ミクロソーム (HLMs) によるHU-210およびHU211の代謝により、各々少なくとも6種のモノ水酸化体の生成が示唆された (M-1 ~ M-6, GCの保持時間順)。GC/MSの結果から、いずれもHU-210およびHU-211のモノ水酸化体の3TMS誘導体に相当するM+ (m/z = 618)が確認された。また、各代謝物に特徴的なイオンは、m/z 425 (M-1)、m/z 173 (M-2)、m/z 359 (M-3)、m/z 131 (M-4)、m/z 117 (M-5) および m/z 505 (M-6) であった。これらの結果および代謝物のFragmentationパターンなどから、M-1 (7α-hydroxy-HU-210)、M-2 (2’-hydroxy-HU-210)、M-3 (7β-hydroxy-HU-210)、M-4 (5’-hydroxy-HU-210)、M-5 (6’-hydroxy-HU-210) およびM-6 (7’-hydroxy-HU-210) を同定した。この結果は、18O2気相下に生成した代謝物についての情報からも支持された。2) 各種CYP発現系を用いたHUI-210の検討結果から、HU-210のM-1~M-4はCYP3A4およびCYP3A5により生成することが明らかとなった。特にM-1~M-3はCYP3A分子種のみでの生成が認められた。3) HU-210およびHU-211のM-1~M-4の生成はCYP3Aの阻害剤であるketoconazoleによって強く阻害され、CYP3A4の抗体添加によっても生成量が大幅に低下した。したがって、HU-210およびHU211のHLMsによる代謝には、主にCYP3A4が関与することが明らかとなった。4) 合成カンナビノイドの細胞毒性:3T3-L1細胞を用い、合成カンナビノイドの脂肪細胞分化誘導能に与える影響を検討した結果、Δ9-THCの他JWH-018、JWH-073、HU-211、WIN-55212-2、WIN-55212-3などが3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化誘導能の促進作用を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画については、合成カンナビノイドのHU-210についてヒト肝臓ミクロソームによる代謝および関与するCYP分子種を明らかにすることができた。また、当初は計画に入れていなかったHU-211についてもHU-210との比較検討ができた。さらに、合成カンナビノイドについて、細胞毒性との関連から3T3-L1細胞の脂肪分化誘導能の促進作用を複数の合成カンナビノイド(JWH-018、JWH-073、WIN-55212-2、WIN-55212-3など)について明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、1) 中枢神経系細胞としてマウス神経芽細胞腫C1300N18を用いて、合成CB受容体アゴニスト (HU-210、WIN 55,212-2、CP 55,940、JWH化合物など)の細胞毒性を検討する。2) ヒト乳癌細胞MCF-7に対する合成CB受容体アゴニスト (HU-210、WIN 55,212-2、CP 55,940、JWH化合物など)の細胞毒性を評価する。3) 合成カンナビノイドの3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化誘導能の促進作用の機構解析を検討する。この他、CYP発現系によるHU-210およびHU-211などの合成カンナビノイドの代謝につても追加検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度の物品費の未使用額がほぼそのまま次年度に繰り越されたため。 CYP発現系および合成カンナビノイド他、GC/MSの消耗品の購入に充てる。
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