チロシンキナーゼ型受容体のErbBファミリーにおいて、下流のERK経路の活性化により膜近傍領域の保存されたスレオニン(Thr)がリン酸化されることにより自己リン酸化チロシンが抑制されるフィードバック制御を明らかにしてきた。前年度までに、フィードバック制御の実行因子としてチロシン脱リン酸化酵素の関与などを明らかにしてきた。本年度は、ERKなどMAPKを活性化させるとの報告がある化学物質によるErbBファミリーのフィードバック制御の解析を行った。ErbB2とErbB3を高発現するヒト乳がん細胞株において、ERKおよびp38のリン酸化が変化するとともに、ErbB2自己リン酸化チロシンの変化が示唆された。化学物質によるMAPKの変化によるErbBリン酸化変動が示唆され、化学物質曝露ががん分子標的薬の薬効等に影響を与える可能性が考えられた。
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