研究課題/領域番号 |
16K08367
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
深見 達基 金沢大学, 薬学系, 准教授 (00532300)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルデヒドオキシダーゼ / ニトラゼパム / ダントロレン / 還元酵素 / 薬物毒性 |
研究実績の概要 |
医薬品毒性に関与すると考えられるヒト肝臓ニトロ基還元酵素を同定するために、はじめにニトラゼパムを用いて解析を行った。ニトラゼパム還元酵素活性が認められた肝臓サイトゾル画分より硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー等を組み合わせた方法によりタンパク質を精製した結果、アルデヒドオキシダーゼ(AO)がニトラゼパム還元酵素として単離・精製された。生体内AO基質であるN-メチルニコチンアミドを反応系に添加することによりニトラゼパム還元酵素活性の顕著な上昇が認められた。また、肝サイトゾルで認められたニトラゼパム還元酵素活性はAOの阻害剤により阻害が認められた。一般的に還元反応は嫌気性条件下で進行するが、好気的条件下でも進むことが示され、AOが酸化反応のみならず還元反応をも触媒することを明らかにした。また、上記解析をダントロレンを用いても行い、ダントロレンもAOにより還元反応を受けることを明らかにした。AOによる還元反応は2電子還元により進行することが考えられ、ニトロ基からアミノ基への還元反応の中間体としてN-ヒドロキシルアミンが生成することが示唆された。一般的にN-ヒドロキシルアミンは反応性が高いため毒性への関与が示唆されている。AOによるN-ヒドロキシアミンの生成はグルタチオンやN-アセチルシステインといったトラップ剤を用いることでLC-MS/MSで検出され、N-ヒドロキシルアミンがニトラゼパムやダントロレンの副作用として報告されている肝障害の原因代謝物である可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画は還元酵素の同定であった。その目標が達成できているため、「おおむね順調に進展している。」区分に該当する。
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今後の研究の推進方策 |
アルデヒドオキシダーゼ(AO)がニトロ基含有医薬品の還元酵素であり、N-ヒドロキシルアミンを生成することにより毒性発現に関与することが考えられたため、さまざまな医薬品を用いてどの毒性発現に対するAOの関与の有無を調べる。そのための評価系を構築するとともに、毒性発現メカニズムを解析する。
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