研究課題/領域番号 |
16K08369
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
岩本 卓也 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30447867)
|
研究分担者 |
奥田 真弘 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 免疫チェックポイント阻害薬 / バイオマーカー / がん化学療法 / 個別化医療 / ニボルマブ / ペムブロリズマブ |
研究実績の概要 |
本研究は、免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ及びペムブロリズマブについて、薬物動態、作用部位であるエフェクターT細胞との相互作用を解析し、治療効果や副作用と関連するPK/PD指標を同定することを目的として実施している。 平成28年度は、肺がん患者を対象とした臨床研究「PD-1阻害薬の薬理作用に関連する免疫学的因子の探索研究」の研究計画を立て、三重大学医学部研究倫理委員会の承認(No. 3062)を得た。そして、ニボルマブ及びペムブロリズマブの血清中濃度の測定については、特異抗体を用いたELISA法を確立し、抗薬物抗体(自己抗体)と共に測定系を整えた。また、CD3陽性CD8陽性T細胞の膜表面に発現するCD28、細胞内に内包するTNF-α、IFN-γの測定系(フローサイトメーター)も構築した。加えて、自然免疫への関与についても観察するためにNK細胞の評価系についても構築した。 平成29年度は、さらに免疫学的測定系の測定精度を高め、10月より患者エントリーを開始した。平成30年3月時点で13名をエントリーし、血液検体の分析と患者の治療情報の集積を行っている。患者検体は、治療開始前、治療開始2週間、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月の検体を確保し、免疫細胞の経時的変化を観察している。また、エントリー患者については、RECIST version 1.1 に準じて治療開始4 週以降の最良総合効果を判定している。加えて、抗PD-1抗体薬投与後の有害事象の重症度については、有害事象共通用語規準v4.0 にしたがって評価し、症例報告書に結果をまとめている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に構築した抗PD-1抗体薬の血清中濃度の測定系、エフェクターT細胞及びNK細胞の活性化の評価系をさらにブラッシュアップし、臨床研究を開始している。平成30年3月現在、13名をエントリーし、検体の取得と解析も順調に実施できているため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度については、前年度に引き続き、患者エントリーを進め、目標症例数40症例(現在13症例)を目指す。抗PD-1抗体薬投与後のエフェクターT細胞、NK細胞の活性化変化についても経時的に評価する。また、抗PD-1抗体3回目投与後の血清中薬物濃度(トラフ濃度)について、ELISA法にて測定する。各々の対象患者について、RECIST version 1.1 に準じて治療開始4 週以降の最良総合効果を判定する。加えて、抗PD-1抗体薬投与後の有害事象の重症度については、有害事象共通用語規準v4.0 にしたがって評価する。上記の情報を元に、抗PD-1抗体薬の効果、副作用に関連する免疫関連バイオマーカーを同定するために統計学的な解析を行う。統計解析はSAS.9.4を使用し、有意水準を0.05 として解析する。
|