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2017 年度 実施状況報告書

食物抗原の吸収と食物アレルギーの感作を増強する因子の探索とその機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K08371
研究機関広島大学

研究代表者

横大路 智治  広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 准教授 (70389120)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード生体膜輸送 / 食物アレルギー / 消化管吸収 / 食物アレルゲン / アレルゲン感作
研究実績の概要

研究代表者は、これまでにNSAIDsのひとつであるアスピリンが食物抗原の吸収と経口感作を亢進させることを明らかにしている。また、昨年度の検討で、アスピリンと同様にCOX-1を阻害するジクロフェナクを経口負荷すると卵白抗原 (OVA) の経口感作は増強したが、COX-2選択的阻害剤であるメロキシカムを負荷した群では感作の増強が認められなかった。さらに、ラットにアスピリンを長期投与することにより消化管障害が惹起されることを明らかにした。これらの結果から、NSAIDsによる抗原感作の増強にCOX-1阻害作用が一部関与している可能性が考えられた。本年度は、NSAIDsによる抗原感作亢進の機構を明らかにすることを目的として、アスピリンによる感作亢進が経口感作以外の感作経路でも認められるか否かを検討した。
OVAの腹腔内感作におよぼすアスピリンの影響について解析した結果、アスピリンを負荷した群では、非負荷群と比べてOVAの感作開始8週目に抗OVA特異IgE抗体価の有意な増加が認められた。次に、OVAの経皮感作におよぼすアスピリンの影響について解析した結果、腹腔内感作と同様にアスピリンを負荷した群で、非負荷群と比べてOVAの感作開始4週目に抗OVA特異IgE抗体価の有意な増加が認められた。これらの結果から、アスピリンは経口感作だけでなく、腹腔内感作や経皮感作も亢進することが示され、NSAIDsによるOVA感作亢進作用が消化管吸収の増加以外の経路も関与することが確認された。来年度は、NSAIDs以外の薬剤により抗原への感作亢進が起こるか否かを検討する予定である。また、本年度はELISA法を用いた新たな小麦抗原の定量法を確立することができた。今後、小麦抗原でもOVAと同様の現象が認められるか否かについて解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

血漿中の抗体価測定に使用しているELISA法の感度が従来よりも低下する現象が認められていた。現在、ELISA法を改良し、研究を遂行中である。

今後の研究の推進方策

NSAIDsによる感作増強の分子メカニズムを明らかにするとともに、NSAIDs以外の薬剤(抗菌薬など)により抗原への感作亢進が起こるか否かを検討する予定である。また、OVA以外の抗原でもNSAIDsによる感作の増強が認められるか否かについて解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 見積もりの間違いのため
(使用計画) 次年度に消耗品費として合算して使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Food-dependent exercise-induced anaphylaxis due to shrimp associated with 43 kDa, a new antigen2018

    • 著者名/発表者名
      Kimura Hiroshi、Inami Maiko、Hamaguchi Yasuhito、Takehara Kazuhiko、Akimoto Shiori、Yokooji Tomoharu、Matsuo Hiroaki、Matsushita Takashi
    • 雑誌名

      The Journal of Dermatology

      巻: 45 ページ: 366~367

    • DOI

      10.1111/1346-8138.13890

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 加工食品における小麦タンパク質の不溶化とアレルゲン性の変化について2017

    • 著者名/発表者名
      田中 賀治代、和泉 秀彦、横大路 智治、松尾 裕彰、伊藤 浩明、蟹江 悠紀、内藤 宙大、鈴木 美沙、楳村 春江、田上 和憲、酒井 一徳、古田 朋子、山田 千佳子
    • 雑誌名

      アレルギー

      巻: 66 ページ: 222~230

    • DOI

      10.15036/arerugi.66.222

    • 査読あり
  • [学会発表] 質量分析法による血漿中小麦グリアジン定量法の開発2017

    • 著者名/発表者名
      大本 亜沙妃, 荻野 龍平, 横大路 智治, 垰越 崇範, 松尾 裕彰
    • 学会等名
      日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会第55回中国四国支部学術大会
  • [学会発表] 質量分析装置を用いた血漿中食物抗原定量法の開発2017

    • 著者名/発表者名
      荻野 龍平, 大本 亜沙妃, 横大路 智治, 垰越 崇範, 森田 栄伸, 松尾 裕彰
    • 学会等名
      第47回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会・第41回皮膚脈管・膠原病研究会

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公開日: 2018-12-17  

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