研究課題
研究代表者らは、これまでにアスピリンを含む一部の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が細胞間隙を介した卵白抗原タンパク質(OVA)の消化管吸収を亢進させることを明らかにしている。また、昨年度までの検討により、アスピリンはOVAの経口感作を亢進することを明らかにした。さらに、NSAIDsによる抗原感作の増強にはシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)に対する阻害作用が一部関与することや、アスピリンは腹腔内感作や経皮感作など経口感作以外の感作も亢進することを明らかにした。本年度は、NSAIDsによる抗原の吸収と感作の亢進がOVA以外の食物抗原タンパク質でも確認できるか否かを明らかにすることを目的として、小麦抗原タンパク質(グリアジン)の吸収におよぼすアスピリンの影響とその機構を解析した。アスピリンを投与したラットにグリアジンを経口投与した結果、アスピリン非投与群よりも高いグリアジンの吸収が認められた。このとき、血中に移行したグリアジンをwestern blot法で解析した結果、グリアジンの一部は未消化体のまま吸収されていることが明らかになった。さらに、血漿からグリアジン画分を抽出し、グリアジン感作ラットの皮内に投与した結果、血管透過性の亢進作用が確認された。これらの結果は、NSAIDsがOVA以外の抗原タンパク質の吸収も増加させることを示すものである。また、NSAIDsにより吸収が亢進した抗原タンパク質の一部は、アレルゲン活性を有した未消化体の形で血中に移行することを明らかにした。
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Allergology International
巻: 68 ページ: 247~253
10.1016/j.alit.2018.11.005
巻: 68 ページ: 112~113
10.1016/j.alit.2018.04.012