研究課題/領域番号 |
16K08374
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中村 克徳 琉球大学, 医学部附属病院, 教授 (20361363)
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研究分担者 |
益崎 裕章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291899)
安藤 雄一 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (10360083)
松永 民秀 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (40209581)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インフュージョンリアクション / リツキシマブ / 抗体医薬 / 分子標的薬 / 実験動物 / 人種差 / TGN1412 / 治験 |
研究実績の概要 |
2017年度に実施した研究の成果 【背景】インフュージョンリアクションは、一般的にモノクローナル抗体製剤(抗体医薬)の投与後に発現する急性期の有害事象を言う。近年は、分子標的薬による治療が増加しており、抗体医薬はその中心的役割を担っている。このため、抗体医薬投与直後に発現する副作用の予測は非常に重要になってきている。 【具体的内容】本研究では、リツキシマブ投与直後に発現する副作用を未然に防ぐ手段を確立するために、薬剤投与直後に副作用を発現した患者の①遺伝子解析、②HLAタイプ解析、③併用薬・治療レジメンを網羅的に解析することによりリツキシマブによるインフュージョンリアクションのリスク因子を明らかにし、リツキシマブを含む抗体医薬のリスク回避策を作成することを最終的な目的とする。 【意義・重要性】ヒトにおけるインフュージョンリアクションを正確に評価するインビトロ試験系は存在しない。マウスやラットなどの実験動物を用いた系は、コストや簡便さの点で有用であるものの、ヒトと比較した場合に大きな種差が存在する。このため、抗体医薬 TGN1412 の治験で起こったような予期せぬ副作用が問題となっている。さらにインフュージョンリアクションを評価する場合には、治療および予防に用いる薬物の有無・投与量、人種差および環境因子による影響が無視できないことが予想される。インフュージョンリアクションのリスク因子を明らかにすることで、副作用予防となることが期待される。さらに、インフュージョンリアクション評価系を開発することによって、リツキシマブを含む抗体医薬を最初にヒトへ投与する臨床試験前に行う「前臨床試験」に応用可能であることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体は、琉球大学医学部附属病院、名古屋大学医学部附属病院、名古屋市立大学病院から収集している。症例数は当初計画通りにおおむね順調に収集されている。
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今後の研究の推進方策 |
【今後の推進方策】インフュージョンリアクション発症患者末梢血収集が重要であるため、研究分担者である名古屋市立大学の松永、名古屋大学医学部附属病院の安藤、琉球大学医学部附属病院の益崎・中村が所属する病院の患者から倫理審査委員会の承認事項に基づき収集を継続する。 連携研究者について、理化学研究所の莚田が遺伝子解析を担当し、名古屋市立大学医学部附属病院の飯田が、インフュージョンリアクション発症患者および発症していない患者血液の収集および CTCAE に従った副作用グレードの判定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床サンプルの収集は、患者治療の動向に左右されることから、予測が困難である。2017年度に計画していた臨床サンプル等が当初の予想よりも回収・調製・輸送量が少なかった。2018年度には、この不足分を補うように計画している。
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