研究課題/領域番号 |
16K08378
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
細川 正清 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (70181500)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カルボキシルエステラーゼ / プロドラッグ / 代謝酵素 / ヒト肝ミクロソーム / ヒト小腸ミクロソーム / アトルバスタチン |
研究実績の概要 |
現在、プロドラッグの開発において生体内の主要な変換酵素であるcarboxylesterase (CES), butyrylcholinesterase (BuChE), arylacetamidodeacetylase (AADAC), cholesterolesterase (CholE)およびparaoxonase (PON)の種差、臓器差が大きな問題となっている。本研究では、この問題を解決するために、それぞれの変換酵素について、ヒトと動物間での基質特異性の差異を調べることにより、変換酵素別のプロドラッグ代謝モデル臓器細胞を作成するとともに、実際にプロドラッグの合成を行うことで、プロドラッグの構造と変換酵素の構造活性相関の検討も試みた。 今年度は、特にプロドラッグの合成を中心に検討した。今回は、リード化合物としてBAが低いことが報告されているアトルバスタチンを用い、生体内の代謝活性化酵素としCESを用いて検討を行った。その結果、種々合成したアトルバスタチンプロドラッグはヒト肝ミクロソームおよびヒト小腸ミクロソーム存在下において構造、あるいは電子密度の違いにより、加水分解活性能が変化することを明らかにした。さらに、これらのエステルは、CES1特異的に代謝活性化されることが明らかとなった。また、BAの上昇を意図したアトルバスタチンプロドラッグは小腸では代謝されず、肝臓で代謝活性化されるようなプロドラッグに成り得るものであることが判明した。以上の結果より, ミクロソーム存在下においてのアトルバスタチンエステルの置換基の違いによる加水分解活性の変化を明らかにし, 構造活性相関に関わる新規の知見を得た。したがって、臨床医薬品開発におけるリード化合物の最適化に伴う構造活性相関の知見として、肝臓もしくは小腸で効率的に代謝活性化されるプロドラッグ設計に関する有用な知見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、当初プロドラッグの開発において生体内の主要な変換酵素であるcarboxylesterase (CES), butyrylcholinesterase (BuChE), arylacetamidodeacetylase (AADAC), cholesterolesterase (CholE)およびparaoxonase (PON)について全て同時に検討する予定であった。しかしながら、様々な構造を持つ、新規プロドラッグの合成を行いそれぞれの動物の肝臓及び小腸ミクロソームを用いて変換の差異を調べた方が、効率が良いことが推察されたため、方針を少し変えてプロドラッグの合成に力点を置いて実験を実施した。そのため、当初の計画と比較すると進捗状況は遅れていることとはなるが、実験結果はよりよい方向で得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、当初プロドラッグの開発において生体内の主要な変換酵素であるcarboxylesterase (CES), butyrylcholinesterase (BuChE), arylacetamidodeacetylase (AADAC), cholesterolesterase (CholE)およびparaoxonase (PON)について全て同時に検討する予定であった。しかしながら、様々な構造を持つ、新規プロドラッグの合成を行いそれぞれの動物の肝臓及び小腸ミクロソームを用いて変換の差異を調べた方が、効率が良いことが推察された。そのため、アトルバスタチンの構造に基づいたプロドラッグの検討を実施した後、インドメタシンやその他の薬物をリード化合物として生体内の変換効率と構造についての検討を行う予定である。
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