研究課題/領域番号 |
16K08380
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
清水 万紀子 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90307075)
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研究分担者 |
山崎 浩史 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30191274)
村山 典惠 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90219949)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フラビン含有酸素添加酵素 / FMO |
研究実績の概要 |
フラビン含有酸素添加酵素(FMO)は化学物質、食品由来成分および幅広い医薬品のN-およびS-酸化反応を触媒する。近年、成人ヒト肝に発現するFMO3 が代謝消失にかかわる医薬品が報告あるいは上市されている。ヒト胎児肝に発現するFMO1 が成人腎にも発現するように、これら分子種の発現には年齢差、臓器差さらに動物種差が存在する。ヒト肝FMO3 に関する薬物代謝消失や薬物相互作用の情報は増えつつあるが、FMO1 が医薬品の全身における消失に影響するか否かの情報は十分ではない。そこで本研究では、ヒトおよび動物の生体内薬物酸化におけるFMO1 とFMO3 の寄与を検討するため、ヒト肝移植および非移植マウスにベンジダミンを経口投与し、基質と2つの酸化的代謝物の血中濃度を測定し、in vivoプローブとしてのベンジダミンの有用性を評価した。マウスおよびヒトの肝および腎ミクロゾームによるベンジダミンの酸化的代謝物を測定した。動物データを元に簡素な生理学的薬物動態(PBPK)モデル手法でベンジダミンのヒト血中濃度推移の予測を試みた。ヒト肝移植マウスでの本薬血中動態特性から、簡素PBPK モデル手法によりヒト仮想経口投与血中濃度推移を得るには、移植したヒト肝以外のマウスとヒトの代謝消失の種差を考慮する必要があった。マウス腎の高 FMO 活性に依存しうる乖離を定量的に解決する一法として、ヒト肝細胞移植前の マウス由来肝細胞を不活化したTK-NOG マウスでのベンジダミン動態実測値を得て、ヒト肝移植マウスからヒトへ本薬血中動態予測を補正する方法が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivoでの薬物相互作用の検討を行う条件整備のためにヒト肝移植マウスにおけるFMO基質の血中濃度推移、および簡素PBPK モデル手法による薬物動態パラメータが得られた。さらにin vitroのデータと合わせ、FMO1とFMO3の統合的な検討を行うための準備が整ったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトFMOの基質として化学物質、食品由来成分および幅広い医薬品が知られている。ヒトFMO1およびFMO3分子種の発現には年齢差、臓器差さらに動物種差が存在する。さらに、ヒトおよび動物の生体内薬物酸化におけるFMO1 とFMO3 の寄与ならびにヒトFMO1およびFMO3の薬物相互作用の検討をin vivo で行うためにヒト肝移植マウスにFMO基質であるベンジダミンおよびメチマゾール、スリンダクスルフィド、トリメチルアミンなどのFMO3基質を投与し血中濃度推移を測定することを試みる。これらのデータから、FMO基質のヒト血中濃度シミュレーションが可能か、検討を行う。これらの基質整備ののち、FMO1およびFMO3の相互作用について、in vitro系を用いて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
FMO発現プラスミドのシークエンスを行う予定であったが、一部次年度に行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
FMO発現プラスミドのシークエンスを行う予定である。
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