研究課題/領域番号 |
16K08387
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
和田 光弘 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (40295093)
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研究分担者 |
中島 憲一郎 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (30039656)
中村 心一 九州保健福祉大学, 薬学部, 助教 (50542528)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 毛髪 / ホモシステイン / HPLC / 蛍光誘導体化 |
研究実績の概要 |
ヒトあるいは実験動物毛髪中ホモシステイン (Hcy) およびその代謝に関連するメチオニン (Met) 、システイン (Cys) の高感度定量法の確立 今年度は、毛髪試料中の Hcy 類(Met, CysおよびHcy)の定量法の確立に向けて検討を行った。試料には健常人ボランティアから採取した毛髪を用いた。本毛髪採取計画は、九州保健福祉大学倫理委員会の承認を得ている。 まず毛髪試料からのHcy 類の抽出およびクリーンアップ法の確立に取り組んだ。抽出溶媒として振盪器による毛髪破砕法と1) メタノール、2) 0.1% 塩酸含有メタノール、3) 6 M 塩酸および4) 6 M NaOHによる溶出をそれぞれ組み合わせた方法を検討した。 6 M 塩酸を用いた場合にHcy類を最も効率よく抽出することができた。塩酸抽出後、試料中酸化型Hcy類の還元、蛍光誘導体化試薬DBD-Fによる誘導体化および液‐液抽出によるクリーンアップを組み込むことで前処理法とした。さらに誘導体化試薬濃度、反応時間および反応温度の最適化を行い、それぞれ 60 mM、80℃、20分を用いることとした。 これらの検討の結果、内在性 Met、CysおよびHcyピークを検出しているが、抽出溶媒として用いている塩酸および毛髪中の多量の含硫アミノ酸成分などの影響により、再現精度及び添加回収率 (4-20%) が著しく低くなっている。現在改善に向けて精査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Hcy類の測定には、分析対象を蛍光誘導体化後、HPLC-蛍光検出する方法を用いているが、これは申請者らの先行研究であるヒト血漿中Hcy類の測定法に準じている。目的基質の毛髪からの溶出には6 M 塩酸が有効であるが、還元および誘導体化反応に影響を与えており、塩酸抽出液の処理が必要であると考えている。これは固相抽出法などの処理をすることで解決可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず毛髪中Hcy類のHPLC定量法の確立を早期に達成する。開発した毛髪中測定法およびこれまでに確立している血漿中 Hcy 類定量法を用いて、高Hcy血症とした実験動物から採取したそれぞれの試料中での濃度の相関性について検討を行う。
これにより毛髪中濃度モニタリングの臨床的な価値を明らかにすることができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況欄にても説明したが、本年度はヒト毛髪中Hcy類のHPLC-蛍光定量法の開発に向けて検討を行っている。本年度は特に試料からのHcy類の抽出およびクリーンアップを含む前処理法の確立に注力してきたが、再現精度および回収率が低い結果となっており、そのため、研究の進行が遅れている。よって若干額を次年度に使用することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒト毛髪中Hcy類のHPLC-蛍光定量法の確立を早期に実現し、研究の遅れを取り戻すとともに、29年度に計画している毛髪および血液中Hcy濃度の相関性を検討する目的で予算を使用する予定である。
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