研究実績の概要 |
脂質過酸化物由来の反応性アルデヒド(4-oxo-2(E)-nonenal, ONEおよび 4-hydroxy-2(E)-nonenal, HNE)による、ヒト血清アルブミン(HSA)修飾に対するピリドキサミン(PM)の阻害効果
1. HSAとONEあるいはHNEの反応において、Lys残基が両者で主な修飾部位であり、修飾されるアミノ酸残基の数はHNEがONE より多かった。 一方、アスコルビン酸存在下のHSA とリノール酸の過酸化物(13(S)-hydroperoxy-9,11(Z,E)-octadecadienoic acid, 13-HPODE)の反応では, 修飾されるアミノ酸残基の数は、ONE(10 Lys, 3 His, 2 Arg)がHNE(8 His, 2 Lys)よりも多く、両者の反応性の差によるものと示唆された。
2. PM濃度の増加に伴い、全てのPM-ONE/HNE付加体の増加が見られた。 MSにおけるPM-ONE 付加体のピーク強度は、大きなものからPO1、 PO7(=PH2)、 PO8の順であり、PM濃度の増加に伴うタンパク質修飾の減少も認められた。とりわけ、K162/K190/K525へのONE修飾は、濃度依存的であった。これに対し、 HNEによる修飾では、この様なPMの濃度依存性は認められなかった。その結果、 PMがONEを選択的に捕捉する事で、過酸化脂質由来のタンパク質ダメージを緩和する事を明らかにした。
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