研究課題
本研究では、より適切な薬物療法を実現するため、施設や職種を越えて使用され薬物療法の評価の基盤となるようなアセスメント指標の確立を目指した。まず患者による服薬管理の状況、特にその時点の薬物療法の概要や全体像について、把握するための評価指標を検討した。近い領域の先行研究による評価スケールをレビューすると、臨床で汎用できる要件としては、簡潔であり5項目程度で構成されること、種々の職種に理解され易いことなどが考えられ、服用剤数、服用薬剤の残数、理解力、服薬に要する身体機能などの評価項目は含めるべきであると考えられた。これをふまえて、薬剤関連2項目、患者関連10項目からなる服薬管理簡易評価ツールPharMA score (Pharmacotherapy-Management Simple Assessment Score) を作成した。現在臨床適用を進めており、その結果からブラッシュアップを行い臨床への浸透を図って行きたい。次に、現状では手指の動作と服薬動作とを結びつけた評価指標は存在しない。そこでこれを検討して簡便な剤形選択のためのフローチャートを作成した。服薬に関わる動作については、自助具使用や要介助の内容を含む4段階のGradeを定めた。各剤形の使用に必要な手指機能は、手指可動域や握力、ピンチ力等の基本機能と、薬剤の計量や開封、取り出し等を含む作業能力の二面から特定した。この研究過程により服薬に必要な動作が明らかになる一方、このツールで患者状態の確認と評価が簡便にでき、医療スタッフ間の情報伝達が迅速・正確になると共に適切な医薬品の使用が期待できる。今後は医薬品の包装形態や薬剤の大きさ、患者の生活環境などの点も含めて研究を進め、さらに洗練された指標に改善していく必要がある。患者の状態のアセスメントに関する薬剤師教育プログラムの基礎検討として、臨床論文の利用に関する調査なども行った。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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http://www.tohoku-mpu.ac.jp/laboratory/rinsyoy/index.html