研究課題
28年度の結果を基に、三環系抗うつ薬であるアモキサピンを用いて、イリノテカン代謝物の脱抱合反応における影響について検討(時間経過による影響,IC50,阻害様式)を行った。脱抱合解析モデルを用いた検討により、アモキサピンはイリノテカン代謝物から活性体であるSN38の生成量を有意に低下した。また、イリノテカン代謝物の脱抱合反応は基質であるフェノールフタレイングルクロニド併用時は時間経過とともにSN38の生成量が徐々に増加していたにも関わらず、アモキサピン併用時には反応開始直後から90分までの間、ほぼ完全に阻害されていた。さらに、イリノテカン代謝物の濃度条件下におけるSN38の生成量を測定することで速度論的な解析を行ったところ、Vmax値は1263uM/30min、Km値は489uMと算出された。次に、イリノテカン代謝物をKm値付近で固定し、阻害剤の濃度条件下におけるイリノテカン代謝物の影響について検討することでIC50値を算出したところ、フェノールフタレイングルクロニド(基質)は586uMであったが、アモキサピンは1.6uMと極めて低濃度での阻害が認められた。最後に、阻害様式について検討するため、各阻害剤をIC50値付近で固定し、イリノテカン代謝物の濃度条件下による脱抱合への影響について検討を行ったところ、フェノールフタレイングルクロニド(基質)は競合阻害、アモキサピンは非競合阻害の傾向を示した。アモキサピンは過去に我々が報告したシプロフロキサシンよりもβグルクロニダーゼに対する阻害作用をが強く、グルクロン酸代謝物の腸肝循環への影響が大きいことが示唆された。
3: やや遅れている
ミコフェノール酸のグルクロン酸代謝物の入手が不可能であったが、何とか購入先を見つけることができ、検討再開した。しかし、イリノテカン以外のグルクロン酸代謝物並びに活性本体の測定系並びに、定量方法について、文献等を参考に検討していたが、当施設での測定機器で検出させるのに時間を要した。しかし、実験条件並びに測定系の再現性の目途がついたため、30年度より検討を開始する予定である。
まず、30年度前半でミコフェノール酸のグルクロン酸代謝物における脱抱合反応への影響について、アモキサピン併用による影響について検証(時間経過による影響,IC50,阻害様式)を行う。30年度後半では、既報文献の情報を基に各種阻害剤によるβグルクロニダーゼへの影響について検討を行い、阻害強度を基にして構造的特徴を明らかにする。
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医療薬学
巻: 43 ページ: 502-508