研究課題/領域番号 |
16K08398
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
古俵 孝明 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 薬剤師 (50627817)
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研究分担者 |
東 高士 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 薬剤師 (40623773)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ミコフェノール酸 / イリノテカン塩酸塩 / アモキサピン / 脱抱合阻害 / 腸肝循環 / βグルクロニダーゼ / シプロフロキサシン |
研究実績の概要 |
2016~2018年度の検討結果をもとに、実際の臨床での併用事例による影響についてレトロスペクティブな調査を行った。腸肝循環の寄与が大きい薬物として、免疫抑制剤のミコフェノール酸と抗悪性腫瘍薬のイリノテカンを選択した。阻害剤としてシプロフロキサシン並びにアモキサピン、エゼチミブとの併用事例について調査し、ミコフェノール酸の血中濃度や重症感染症の発生頻度、イリノテカンによる下痢の副作用について評価を行った。 2016年4月~2019年3月までの調査期間中に、ミコフェノール酸の使用患者数は74例、そのうちシプロフロキサシンの使用例は2例、アモキサピンの使用例は0名、エゼチミブの使用例は8例であった。一方、イリノテカンの使用患者数は166例、そのうちシプロフロキサシンの使用例は4例、アモキサピンの使用例は0名、エゼチミブの使用例は1例であった。しかしながら、併用事例は、ミコフェノール酸とシプロフロキサシンの1例のみであり、実際に併用前後のミコフェノール酸の血中濃度測定も行われておらず、重症感染症の副作用も認められなかった。一方、ミコフェノール酸とエゼチミブの併用例は7例であったが、同様に併用前後のミコフェノール酸の血中濃度測定は行われていなかった。1例はエゼチミブ服用開始後、ミコフェノール酸からエベロリムスへの変更が行われたが、それは動脈硬化への影響が懸念された上での変更であり、エゼチミブ併用による影響ではなかった。 本調査により、腸管循環への寄与が大きいミコフェノール酸やイリノテカンとβグルクロニダーゼ阻害剤との併用例は実臨床において認められるものの、データ数が少なく、相互作用を疑う影響は判断できなかった。科学研究費助成事業による本調査は一旦終了となるが、引き続き併用例について症例を蓄積し、臨床への影響を判断していきたいと考える。
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