研究課題
A.タクロリムスの生体肝移植後の肝再生とCYP3A5遺伝子型に応じた投与量調節生体肝移植患者から得られたタクリムス血中濃度推移に適した生理学的薬物動態モデルを構築し、肝再生および肝臓・小腸CYP3A5遺伝子多型の影響の定量的評価を試みた。その結果、肝機能は生体肝移植後早期に回復し、タクロリムスの全身クリアランスへの寄与は移植後の限られた期間のみであることが判明した。また、肝臓がCYP3A5*1遺伝子型を有するレシピエントでは、CYP3A5*3/*3の場合と比べて全身クリアランスは1.35倍高い一方、小腸がCYP3A5*1遺伝子型を有するレシピエントでは、CYP3A5*3/*3の場合と比べてバイオアベイラビリティは0.7倍となることが示された。従って、タクロリムスの見かけのクリアランスは肝および小腸CYP3A5遺伝子多型の影響を同程度受けることが判明した。B.腎移植患者におけるタクロリムス薬物動態に与えるCYP2C19及びCYP3A5遺伝子多型の影響腎移植患者80名を対象に、ランゾプラゾール併用下でのタクロリムス体内動態に与えるCYP3A5およびCYP2C19遺伝子多型の影響を検討した。タクロリムスの血中濃度と投与量(C/D)比は、CYP3A5*1を有する患者群でCYP3A5*3/*3患者群に比べて術後1、7、28日目で有意に低値を示した。一方、全てのCYP3A5遺伝子型において、術後28日目においてもCYP2C19遺伝子型のC/Dへの有意な影響は認められなかった。また、タクロリムスの血中濃度が目標域に入っている患者は、CYP3A5*1を有する患者群とCYP3A5*3/*3遺伝子群で有意差はなかった。以上の結果より、CYP2C19遺伝子多型のタクロリムス体内動態への寄与は小さいため、タクロリムスとランソプラゾールの併用は腎移植患者において問題とならないことが示された。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
CPT: Pharmacometrics & Systems Pharmacology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
診断と治療
巻: 107 ページ: 173-179
Therapeutic Drug Monitoring
巻: 40 ページ: 675-681
10.1097/FTD.0000000000000551
Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences
巻: 4 ページ: 28
10.1186/s40780-018-0126-y
http://www.med.kobe-u.ac.jp/yakudo/link.html