研究課題
肺癌化学療法においては、葉酸代謝拮抗剤であるペメトレキセド、白金製剤であるシスプラチンもしくはカルボプラチンを組み合わせた抗がん薬併用療法が標準治療である。これら薬剤の重大な有害反応は薬物性腎障害であるが、従来から用いられている血清クレアチニン値は腎障害が一定以上進行しなければ上昇しないため、腎機能をより鋭敏に評価する方法に基づく使用法の開発が必要である。そこで、抗がん薬併用療法による薬物性腎障害を早期に発見するため、抗がん薬投与1日前、投与3、7および14日後に肺癌患者から尿サンプルを回収し、非侵襲尿中バイオマーカー候補であるmonocyte chemotactic protein-1 (MCP-1)、neutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL) を測定した。その結果、MCP-1は、肺癌患者における薬物性腎障害の潜在的なバイオマーカーであることが示唆された。その後、該当症例の集積を試みたが昨今、免疫チェックポイント阻害薬の登場により、実地医療においては、免疫チェックポイント阻害薬療法の使用機会が急増し、抗がん薬併用療法の使用機会が激減している。このため、当初計画した抗がん薬併用療法の症例収集が困難になり、研究が滞っている。現在、免疫チェックポイント阻害薬療法の使用は落ち着きを見せており、当初計画した抗がん薬併用療法の症例数の確保に努め、研究を推進する。
4: 遅れている
肺癌化学療法は、白金製剤を軸とする抗がん薬併用療法から、免疫チェックポイント阻害薬療法にシフトしたことから、当初計画した対象レジメンの症例収集に期間を要することが判明し、目標症例数の確保が困難になり、研究の進捗が遅れている。
着手した副作用発現リスク評価を進め、副作用回避策について検討する。一連の研究によって得られた副作用の早期発見の対策法の開発について、得られた結果をとりまとめ、成果の発表を行う。
研究進捗の遅れのため、次年度使用額が生じた。当初の予定どおり、試薬の購入費、学会発表の参加費、論文投稿の費用として使用する計画である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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