研究課題
肺癌化学療法においては、葉酸代謝拮抗剤であるペメトレキセド、白金製剤であるシスプラチンもしくはカルボプラチンを組み合わせた殺細胞性抗がん薬併用療法が標準治療である。これら薬剤の重大な有害反応は薬物性腎障害であるが、従来から用いられている血清クレアチニン値は腎障害が一定以上進行しなければ上昇しないため、腎機能をより鋭敏に評価する方法に基づく使用法の開発が必要である。そこで、当該併用療法による薬物性腎障害を早期に発見するため、患者17名の尿サンプルから、非侵襲尿中バイオマーカー候補であるkidney injury molecule 1 (KIM-1)を測定した。その結果、急性腎障害発症群(7例)では、非発症群(10例)と比較し、尿中KIM-1濃度が有意に高値を示したこと(P<0.05)、急性腎障害発症群を対象に算出したROC-AUCでは尿中KIM-1濃度が高い値(0.823)を示したことから、白金製剤であるシスプラチンもしくはカルボプラチンを含む肺がん薬物療法において、尿中KIM-1は腎障害を反映する有用な尿中バイオマーカーとなることが示唆された。免疫チェックポイント阻害薬が上市されて以降、肺癌化学療法においては、これまでの殺細胞性抗がん薬併用療法から、免疫チェックポイント阻害薬単独療法、および殺細胞性抗がん薬との併用療法が新たな標準療法として確立してきた。このことから、当初計画した症例が激減し、収集が困難となった。
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