研究課題/領域番号 |
16K08405
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
北原 隆志 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (30380934)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | キメラマウス / miRNA |
研究実績の概要 |
昨年、薬剤投与時におけるヒト肝由来miRNA発現解析の予備実験を行い、薬剤障害バイオマーカーの候補としてmiR-1202、miR-3195、miR-557、miR-4535の4種類を見出した。今年度追試を行ったところ、再現性に乏しいことがわかり、その原因の一つとして非肝障害性薬物の選択が不適切だったことが考えられた。そこで非肝障害性薬物として肝代謝も受けない薬物を選択することにした。セファレキシン、ジゴキシン、ソタロール、ザナミビル、フルシトシンを対象にヒト肝キメラマウスに用いているヒト肝細胞へin vitroでの曝露実験を行い、細胞障害性および遺伝子変動について解析した。細胞生存についてはalamarBlue®細胞生存率アッセイにより調べた。その結果、ジゴキシン以外の薬物において200μg/mLの濃度で生存率は約85%であった。また遺伝子を網羅的に解析した結果、セファレキシンが最もバラツキが少なく、次いでジゴキシン、ソタロール、フルシトシンという順番であった。以上の結果より、セファレキシンおよびソタロールを非肝障害性薬物として、既存検体の再解析を行った。前回の結果で候補となったmiRNA 20種類(最終候補4種類を含む)のうち、6種類が同一であった。ただし、ポジティブコントロールであるアセトアミノフェンとメソトレキセートで逆の発現を示すものが殆どでfold-change(FC)>1.5 (FC>-1.5)の基準を満たすものはhsa-miR-122-star_st、hsa-miR-3180_stのみであった。今後、肝障害性薬物を用いた既存検体の1回目と2回目で有意に発現差がないmiRNAで、1回目と2回目の両方でFC>1.2 (-1.2)のものを選択し、非肝障害性薬物おいても変動がFC>1.2 (-1.2)のものを除外することにより、候補miRNAを選定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
候補miRNAの再選定を行っているが、当初の計画からはおおむね順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
候補miRNAについて、ヒト血液中での発現解析を行う。またヒト肝キメラマウスとは異なる遺伝子発現を示すことも考えられることから、網羅的な探索も並行して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度において予定していた学会発表を行わなかったため残金が生じた。 残金については今年度の学会発表の費用に充てる。当初予定分の経費については予定通り使用する。
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