研究課題
開発した血漿中4β-hydroxycholesterol(4β-OHC)測定法を用いて、90名の抗てんかん薬(AED)服用患者の108血液検体を測定した。対象となった患者を(1)CYP3Aを誘導するフェニトイン(PHT)、フェノバルビタール(PB)およびカルバマゼピン(CBZ)の服用患者、(2)CYP3A4を阻害するAEDであるスチリペントール(STP)の服用患者、(3)CYP3Aの誘導および阻害作用を有さないAEDの服用患者の3群に分類してCYP3A活性を評価した。血漿中4β-OHC濃度と4β-OHC/総コレステロール濃度比は良好な相関を示したことから、以後は総コレステロール濃度で補正せず、血漿中4β-OHC濃度をCYP3A活性の指標として用いた。誘導剤服用群、誘導剤および阻害剤非服用群、阻害剤服用群の血漿中4β-OHC濃度(mean ± S.D.)は、それぞれ275.2 ± 156.6 ng/mL、86.5 ± 37.68 ng/mLおよび86.2 ± 46.98 ng/mLであり、誘導剤服用群は誘導剤非服用群と比較して3.2倍有意に高い血漿中4β-OHC濃度を示した。また、CBZおよびびPHT服用患者における血漿中4β-OHC濃度は薬剤の用量依存的に増加することが明らかになり、投与量あたりの誘導能を算出したところ両剤ともほぼ同等であった。しかし、実臨床での投与量を勘案すると、CBZがより強力なCYP3A阻害作用を有することが示唆された。次に、CYP3A5*3および POR*28遺伝子多型と血漿中4β-OHC濃度との関係を検討した。CYP3A5*3およびPOR*28は、4β-OHCの体内動態に有意な影響を与えなかった。したがってCYP3A活性に及ぼす影響は、Genetic factorよりもNon-genetic factorの方が大きいと考えられる。
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