研究課題/領域番号 |
16K08408
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
平野 剛 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (00322826)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | mTOR / 胎盤 / トランスポーター / アミノ酸 / グルタミントランスポーター / BeWo / 活性化変動 / 輸送能 |
研究実績の概要 |
胎盤を通じて栄養素を胎児へ輸送するシステムとして、胎盤トランスポーターが知られている。これらのトランスポーターは、アミノ酸、グルコース、葉酸などの栄養素の妊娠期による需要の変化に応じて高度に発現制御を受けている。これらの機構により、胎児の栄養環境が決定されているが、環境に応じたトランスポーターの発現制御には、栄養感知システムが関与していることを明らかにした。特に妊娠初期に特異的な発現を確認したグルタミントランスポーターSNAT3(Slc38a3)等との関連を妊娠期毎に網羅的に解析・評価した。 妊娠初期のモデル細胞であるヒト胎盤絨毛癌由来BeWo細胞に、ほ乳類発現プラスミドベクターを用いてmTORを高発現させ、各栄養素トランスポーターの発現変動を確認した。また、SNAT3の基質であるグルタミンなどの細胞内取り込みを評価した結果、SNAT3の発現量とグルタミンの取り込み量が顕著に増加し、妊娠初期の胎盤においてmTORによるトランスポーターの発現調節機構が存在する可能性が示唆された。 mTORシグナルの下流に位置するp70 S6 kinase(Thr389) のリン酸化の評価は、ラパマイシンおよびエベロリムスを含むメディウムで処理したが、さらに最適化を目指して、薬液処理の濃度および時間等の条件を検討した。 今後、速度論的解析(Km, Vmax)にて輸送能を算出することで、グルタミントランスポーターSNAT3などの栄養素トランスポーターを機能面からも解析することとする。また、各種化合物処置後のmTOR活性化変動の結果とトランスポーターを介した輸送能の関連性を評価し、mTORの活性化と輸送能の変動が一致した栄養素トランスポーターを特定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私立大学では、薬学教育6年制の改訂コア・カリキュラムの進行に伴い、教育に関するエフォートが大幅に増加している。これまでの豊富な研究経験を十分に活用し、時間および研究費を効率的に使用している。本研究全体は緩除であるが、想定内の進捗状況と自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるので、母体と胎児間の栄養輸送におけるmTORシグナルを中心にエピジェネティック制御機構について明らかにすることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、教員研究費からの研究費を充当することで支出を抑えた。 平成30年度は本研究の最終年度であるので、9月頃までには消耗品を購入することとする。
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