研究実績の概要 |
抗てんかん薬であるバルプロ酸曝露後のmTOR活性化変動について、mTOR活性化マーカーであるS6タンパク質のリン酸化レベルにて検討した。また、栄養素トランスポーターの発現変動を同時に解析し、バルプロ酸とmTORの活性化およびmTORの活性化と栄養素トランスポーターの発現変動との関連性について評価した。 ロイシンなどの必須アミノ酸の取り込みに寄与しているLAT1(SLC7A5)の正常組織での発現は、胎盤、脳、骨髄ならびに精巣などに限られている。これまでの検討結果から、妊娠初期の胎盤にはSNAT3の発現のみが認められているが、LAT1およびLAT1と協調的に作用するは、グルタミンを細胞内に維持するNa+依存性トランスポーターであるASCT2(SLC1A5)は妊娠中期から後期に発現しているので、妊娠期全般を通じて、栄養感知システムとして機能するmTOR─AMPKとの関連を評価した。 カルバペネム系抗生物質およびセフェム系抗生物質を曝露することで、mTORシグナルおよび栄養素トランスポーターへの影響を確認した。一方、栄養素トランスポーターの発現は性ホルモン分泌に対しても大きな影響を与えることから、forskolin, PKCなどによって胎盤の細胞を分化・誘導させた際のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)産生とアロマターゼ活性についても検討した。さらに、BeWo, JEG-3細胞などの胎盤モデルの他、妊娠ラットおよびストレプトゾトシン誘発糖尿病ラット胎盤を用いて、DNAメチル化、ヒストン脱アセチル化解析をバイサルファイト反応キットおよびBisul Taq DNA Polymeraseを用いて検討した。
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