子宮頸がんは発症原因の9割以上をヒトパピローマウイルスの持続感染とされる。したがって、ワクチンによる予防あるいは治療が可能なガンであると言える。現在までに子宮頸がんの予防ワクチンが上市されている。しかしながら、これらワクチンは一旦発症したanを除去することは出来ない。ゆえに、子宮頸がんに対する治療ワクチンが望まれている。本研究は、子宮頸がんの治療ワクチン開発を目的としている。申請者は、ある種の正電荷リポソームが経鼻投与型の粘膜アジュバントとして機能することを見いだしており、これを応用することにより経鼻投与型の子宮頸がんワクチンを開発できると考え、本研究を着想した。 【可溶性ヒトパピローマウイルス抗原の作製】 In vivoの実験に必要な量の可溶性ヒトパピローマウイルス由来抗原(E6、E7またはE6/E7)を得るために、様々な条件でリコンビナント蛋白質の発現を試みた。その結果、実験に必要なリコンビナント蛋白質が得られた。 【ヒトパピローマウイルス由来抗原と正電荷リポソームの経鼻投与によるCTL活性評価】 可溶性ヒトパピローマウイルス由来抗原と正電荷リポソーム(DOTAP/DC-chol liposome)をBALB/cマウスまたはC57BL/6Jマウスへ経鼻投与したところ、併用群において抗原単独群と比較してヒトパピローマウイルス由来抗原特異的粘膜(鼻腔洗浄液、肺胞洗浄液および膣洗浄液)IgA産生および血清IgG産生の顕著な亢進がみられた。また、血清IgGのサブクラスを検討したところCTL活性の指標であるIgG2cの産生が見られたことから、本システムによりCTL活性が誘導されていることが明らかとなった。
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