研究課題/領域番号 |
16K08440
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
二宮 裕將 名古屋大学, 医学系研究科, 研究員 (40514237)
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研究分担者 |
加藤 昌志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10281073)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 形態形成 |
研究実績の概要 |
1「ヒト多能性幹細胞より背側中胚葉の伸長形態形成を再現する条件の検討」以前の研究より、分化度の異なる2種の細胞塊の共培養が異種細胞の境界付近に伸長した体軸組織を作り出す形態形成運動を引き起こすことが分かっている。ヒト背側中胚葉の形態形成を再現する系を確立するため、条件を検討した。1-(1)組合せる背側中胚葉細胞の誘導条件の検討。Wntシグナル:処理濃度・処理時間の差が伸長形態形成に有効であった。FGF、Activinシグナル:処理濃度の差により伸長形態形成を引き出すことは出来なかった。1-(2)組織サイズの検討。約100-800μmの広い範囲で伸長した形態の作成に成功した。1-(3)伸長をサポートする上皮組織添加の検討。上皮細胞であるヒトiPS細胞は中胚葉組織より分離するため、伸長運動の補助・促進に適さなかった。 2「組織分化パターンの解明」2-(1)細胞分化の検定。以前の研究より、分化度の異なる2種の細胞塊の共培養は異種細胞の境界付近に方向性のある細胞分化の差、すなわち「組織極性」をもたらし、それが中胚葉組織の伸長運動を引き起こすことが分かっている。組織極性の形成を確認するため、細胞の分化状態を検討した。Wntシグナル賦活化処理を変えることにより、未分化マーカーであるOCT4と中胚葉マーカーであるBRACHYURYがそれぞれ異なる発現パターンを示すようになり、分化の程度が異なることが示された。このことより、ヒト背側中胚葉の伸長形態形成再現系において、組織極性が形成されていることが示唆された。2-(2)マウス系の準備。ヒト胚を実験に用いることは出来ないので、正常胚との比較のためにはマウスの系を立ち上げる必要がある。そのためのマウス取り扱い技術を習得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1「ヒト多能性幹細胞より背側中胚葉の伸長形態形成を再現する条件の検討」については誘導処理の条件をほぼ設定し、再現性を確認している。マウスES細胞の系はまだ確定していないが、ほぼ準備は整ったといえる。2「組織分化パターンの解明」については組織極性をほぼ確認し、予定通りといえる。以上のことから、全体としては順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
マウスES細胞より背側中胚葉の伸長形態形成を再現する条件を確定し、伸長組織における組織極性の確認をさらに進める。さらに伸長運動中の形態形成関連因子の挙動解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスES細胞系の実験を完遂できておらず、また、予定よりも少ない数のマーカーで組織極性を確認できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
マウスES細胞系等の細胞実験および組織極性のさらなる確認のための分子生物学的解析に研究費を使用します。
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