研究課題
本研究の目的はヒト胎児初期の組織形態形成を解析できるin vitro系の開発である。今年度は以下のようにヒト人工多能性幹細胞(hiPS細胞)より開発したin vitro組織伸長系の形態形成様式解明を中心に研究を進めた。1、201B7以外にも253G1、454E2の異なる系統のhiPS細胞より組織伸長系が再現できることを確認した。 2、RT-qPCR法により、伸長している組織内に遺伝子発現の差「組織極性」が形成されていることを示した。3、組織伸長時の組織形態変化を経時的かつ定量的に解析し、伸長が細胞の再配置により引き起こされているであろうことを示した。4、これまでモデル動物で伸長運動に必要であることが示されていたPCPシグナルについて、4-(1)、組織伸長系で活性化されていること、4-(2)、PCPシグナル下流因子の阻害剤が組織伸長系の形態形成を妨げること、を明らかにした。5、胎盤通過性の毒物であり、組織形態形成への影響も示唆されているメチル水銀が組織伸長系の形態形成を妨げることを明らかにした。研究期間全体では、これまで解析する手段が無かった初期ヒト胎児の組織形態形成in vitro再現系を開発し、ヒト組織伸長様式が他のモデル動物と多くの部分で共通することを世界で初めて確認した。開発したin vitro組織伸長系は通常の細胞培養施設があれば容易に再現することができ、組織伸長までの実験は一週間以内に完了し、形態判定基準が明白であることから解析が容易な系であり、手軽にヒト組織の解析を試みる機会を多くの研究者に提供する。また、この系は先天性奇形の原因解明、遺伝子変異・毒物のリスク評価、さらに再生医療のための組織形態制御など様々な研究に応用できる。このように多くの研究にインパクトを与えることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
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