聴覚と平衡覚を司る脊椎動物の内耳は、進化が作り出した最も精巧な器官の一つである。本研究は、内耳形成で鍵となるSix1遺伝子に焦点を絞り、その発現制御と機能の解明を目指した。マウス内耳有細胞のATAC-seq解析では、Six1周辺に有毛細胞エンハンサー候補を7個同定できた。また、SIX1結合配列がゲノム全体の有毛細胞エンハンサー候補に高頻度で見つかり、SIX1が多数の遺伝子を制御し有毛細胞を特徴づける転写因子であることが強く示唆された。Six1-floxマウスを樹立し、内耳の感覚神経や有毛細胞で特異的にSix1を欠損するマウスの解析を進めることで、Six1の機能のより深い理解が可能になった。
|