研究課題/領域番号 |
16K08458
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
甲賀 大輔 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (30467071)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゴルジ装置 / 連続切片SEM法 / Array tomography / 免疫組織化学 / 下垂体前葉 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、成体ラット下垂体前葉組織におけるゴルジ装置の3D微細構造の解析を行った。 ①免疫組織化学標識を加味した連続切片SEM・3D再構築法:下垂体前葉では、多種類の内分泌(ホルモン産生)細胞が混在しており、これらの細胞を正確に同定するには、免疫組織化学染色法を加味する必要がある。そこで、連続切片SEM法と免疫組織化学染色法を組み合わせた新たな手法の開発を試みた。その結果、下垂体前葉の5種類の内分泌細胞を金コロイド標識により正確に同定した上で、各細胞のゴルジ装置の3D再構築像の作製と解析に成功した。性腺刺激ホルモン産生細胞のゴルジ装置は、下垂体前葉細胞中で最も発達しており、「球体」という特殊な形状であることがわかった。さらに、各前葉細胞のゴルジ装置の3D全体像を比較することで、細胞種によってその形状が多様であることが明らかになった。 ②SEM-CLEM法:連続切片SEM法では、ゴルジ装置の大局的な構造を解析できるが、この小器官の膜の表面3D微細構造の観察には、オスミウム浸軟法が効果的である。しかし、オスミウム浸軟法単独では、四酸化オスミウムによる蛋白の抗原性低下が著しいため免疫組織化学標識は困難である。そこで、新たに開発したSEM-CLEM法を用い(Koga et al., 2015)、目的の細胞を免疫組織化学的に標識した上で、その深部に広がるゴルジ装置の3D表面微細構造を解析した。本研究では、ゴルジ装置の発達した性腺刺激ホルモン産生細胞に注目し、去勢後にみられるゴルジ装置の形態的変化を示すことができた(Koga et al., 2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、先端的な3Dイメージング技法を駆使して、「ゴルジ装置の多様性と成熟過程」の解析を目的としている。そこで平成28年度では、成体ラット下垂体前葉組織におけるゴルジ装置3D微細構築の多様性の解析を行った。具体的には、①免疫組織化学標識を加味した連続切片SEM・3D再構築法の解析、②SEM-CLEM法による解析の2項目について順調に計画が遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
発生・成長に伴うゴルジ装置の3D微細構築の成熟過程の多様性の解析を行う予定である。具体的には、①試料の作製:胎生15日目から出生まで1日間隔でラットを固定し、下垂体組織標本を作製する。生後の発達過程については、出生日を0日とし、生後0日から7日まで各日、および成体(8週)になるまで1週間隔で、下垂体組織標本を作製する。②形態解析:最新の3Dイメージング技法を用い、生後・発達過程におけるゴルジ装置の3D微細構造解析を行う。③発生から成熟過程における各段階で雌雄、時系列ごとに整理した下垂体前葉の各ホルモン産生細胞の典型的な3D再構築像をライブラリ化し、ウエブサイトからアクセスできる環境を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の薬品が平成28年度内に購入できなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度内に物品費として使用する。
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