研究実績の概要 |
本年度の研究では、平成28年度に引き続き、成体ラット下垂体前葉組織におけるゴルジ装置の3D微細構造解析を行った。① 免疫組織化学標識を加味した連続切片走査電子顕微鏡(SEM)・3D再構築法によるゴルジ装置全体像の解析:LR white樹脂に包埋した下垂体組織ブロックから、連続超薄切片(500枚以上)を切削した。次に、これらの切片に抗下垂体ホルモン抗体(GH,PRL,LH,TSH,ACTH)と金コロイド標識二次抗体による免疫組織化学標識を施し、各ホルモン産生細胞を同定した上で、連続断層SEM像を撮影した。最後に、撮影した連続断層像から各ホルモン産生細胞のゴルジ装置の全体像やそのほかの細胞小器官の空間的配置を解明した。その結果、下垂体各前葉細胞のゴルジ装置の3D全体像は、細胞種によって多様であることが明らかになった。 また、本年度は発生・成長に伴うゴルジ装置の3D微細構築の成熟過程の解析にも着手することができた。② 標本作製: 8週齢以降の雌雄ウィスター系ラットを掛け合わせ、生後0日から7日までの各日、および成体となる8週までの1週間間隔での下垂体標本を作製した。③ 形態的解析: 現在、連続切片SEM法やSEM-CLEM法など、様々なイメージングアプローチを駆使して、生後発達過程での機能成熟(身長・体重の増加や性成熟)との関連性を念頭に置き、ゴルジ装置の経時的形態変化の解析を進めている。
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