研究実績の概要 |
本年度の研究では、平成29年度に引き続き、①成体ラット下垂体前葉ホルモン産生細胞におけるゴルジ装置の3D構造解析を行った:平成29年度では、走査電子顕微鏡(SEM)連続断層像観察・3D再構築法(連続切片SEM法)により下垂体前葉ホルモン産生細胞(GH,PRL,LH,TSH,ACTH細胞)のゴルジ装置の全体像を明らかにした。さらに本年度は、ゴルジ装置だけでなく、この小器官の形態形成に関係が深い中心小体の空間的局在も明らかにすることができた。 オスミウム浸軟法は、細胞内微細構造を再構築することなく直接SEM観察できるイメージング技法である。そこで、オスミウム浸軟法により各前葉細胞のゴルジ装置のシス・トランスの微細構造解析を行った。その結果、シスの微細構造は扁平な板状の膜に孔が開いた構造を呈しており、その特徴は各細胞に共通していることがわかった。一方、トランスの微細構造は、各ホルモン産生細胞によって多様で、空間的に複雑な構築を呈していた。さらに、各ホルモン産生細胞を正確に同定するため、オスミウム浸軟法と金コロイド標識法を組み合わせた新たな手法の開発も行った。今後は、この最新のイメージング技法も併用しながら、下垂体前葉ホルモン産生細胞の3D微細構造解析を進めていきたい。 さらに本年度は、②発生・成熟過程における下垂体前葉ホルモン産生細胞の形態的解析も進めた。樹脂に包埋した下垂体組織切片の連続切片を切削、SEMによる連続切片観察を行っており、順次再構築モデルを作製する予定である。
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