研究実績の概要 |
本年度は、①成体ラット下垂体前葉ホルモン産生細胞におけるゴルジ装置の3D構造解析を行った。走査電子顕微鏡(SEM)連続断層像観察・3D再構築法(連続切片SEM法)により5種類の下垂体前葉ホルモン産生細胞(成長ホルモン, 乳腺刺激ホルモン, 性腺刺激ホルモン, 甲状腺刺激ホルモン, 副腎皮質刺激ホルモン産生細胞)のゴルジ装置の全体像を明らかにした。さらに、この研究過程において、下垂体前葉細胞(上記5種類のホルモン産生細胞)の中心小体から伸びる一次線毛の存在を確認することができた。さらに、免疫組織化学手技を加味した連続切片 SEM 法の開発にも成功し、各ホルモン産生細胞を正確に同定した上で、ゴルジ装置の大局的構築を解析することができるようになった(論文投稿予定)。 ②オスミウム浸軟法による下垂体前葉ホルモン産生細胞の解析と迅速オスミウム浸軟法の開発:オスミウム浸軟法は、細胞内微細構造を再構築することなく直接SEM観察できるイメージング技法である。そこで、オスミウム浸軟法により下垂体前葉細胞ゴルジ装置の3D微細構造解析を行い、その形態的特徴を明らかにした。しかし、オスミウム浸軟法は、試料作製に時間がかかるなど問題点の多い手法でもある。そこで、この手法を根本的に見直し、迅速且つ確実に試料作製できる手順を開発した(Koga et al., in press)。迅速オスミウム浸軟法の開発により、今後、この手法の幅広い応用が期待される。 ③発生・成熟過程における下垂体前葉ホルモン産生細胞の形態解析も進めた。樹脂に包埋した下垂体組織の連続切片を切削、SEMによる連続切片観察を行っており、ゴルジ装置の再構築モデルを作製している。
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