神経栄養因子GDNFの受容体であるRETチロシンキナーゼは機能消失型、機能獲得型の点変異が腸管神経系の形成不全を呈する疾患と関連することが示唆されてきた。RETの機能低下による腸管ニューロン前駆細胞の移動や維持の不良による腸管神経系の欠損とは異なり、今回、RETの恒常的活性化により、活性化レベルが少し高まった状態だと神経分化が亢進され、結果として細胞移動が中断され、腸管神経系の形成不全が生じることがわかった。さらにRETの活性化レベルが高まると神経前駆細胞の増殖が高められ、腸管神経系の過形成が生じることもわかった。本研究によりRETの活性化レベルの絶妙な制御の重要性が示された。
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