研究課題
本研究は、イモリとマウスの心臓において、その再生能力に違いが生じる機構の解明を目指し、主に細胞周期の進行に注目した解析を行った。これまでに、イモリの心筋細胞における細胞周期制御因子の詳細な発現パターンを明らかにした。また、心筋細胞の増殖に重要な役割を果たすcyclin D1遺伝子の発現を蛍光タンパク質により可視化できるマウスとイモリを用いて、その詳細な発現パターンを解析する手法を構築し、現在はイモリのCyclinD1遺伝子の転写調節領域の機能を調べている。加えて、CRISPR/Cas9を介した遺伝子ノックアウト法の構築について、その実験手法を確立して、実際に肢の再生に関わることが知られているshh遺伝子の発現を操作できることを示すとともに、tbx5遺伝子が心臓の形成に不可欠であることを示した他、イベリアトゲイモリの持つタンパク質の98%以上をカバーすると予想される遺伝子のモデルを作成や、イモリの効率的なマイクロインジェクションの方法を発表した。併せて、これらの研究成果を広く活用してもらうために、イベリアトゲイモリのための研究リソースを提供するポータルサイト(iNewt: https://www.nibb.ac.jp/imori/main/)を作成・公開している。さらに最終年度は、これまでの一般的な心臓再生誘起法であった寝室の外科的手術法に対して、心筋に液体窒素による凍結損傷を与えて再生を引き起こす方法を確立した。外科的切除と凍結損傷、それぞれの方法で引き起こされる遺伝子発現パターンの変化を明らかにするためのトランスクリプトーム解析を行った。これらの成果は現在論文投稿準備中である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (1件)
Semin Cell Dev Biol.
巻: 100 ページ: 109-121
10.1016/j.semcdb.2019.11.014.
The International Journal of Developmental Biology
巻: 63 ページ: 281~286
10.1387/ijdb.180297th