研究課題/領域番号 |
16K08471
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
菱川 善隆 宮崎大学, 医学部, 教授 (60304276)
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研究分担者 |
石塚 匠 宮崎大学, 医学部, 助教 (50700085)
川口 真紀子 宮崎大学, 医学部, 助教 (90405598)
チョウジョウフ ナランツオツク 宮崎大学, 医学部, 助教 (90640962)
ピュー シンウー 宮崎大学, 医学部, 助教 (90718123)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 蛍光共鳴エネルギー移動 / in situ hybridization / 28S rRNA / microRNA / miR-122 / ラット肝臓 |
研究実績の概要 |
高感度蛍光発色(Fluorescence Resonance Energy Transfer: FRET;蛍光共鳴エネルギー移動)を利用して、組織切片上で特定の細胞での小分子非翻訳RNAであるmicroRNA (miRNA)発現動態を解析する新たな検出法として、FRET based in situ ハイブリダイゼーション(FRET-ISH)法を開発し、組織・細胞レベルでのmiRNA局在検出法を確立することを目的として、本年度は我々が通常陽性コントロールとして用いている28S rRNA配列を基にしたmiRNA用ハイブリダイゼーション条件の最適化を行った。 具体的には、標的とするmiRNA自体の配列が25塩基以下と非常に短いことより、大量に組織内に発現し、通常のISH陽性コントロールとして用いている28S rRNA検出プローブ(39塩基数)から22塩基数の短いプローブ配列を選択して、2種類のFRET標識プローブを作製した。ラット肝臓パラフィン及び凍結切片を用いて①プローブ濃度、②ハイブリダイゼーション温度、③ハイブリダイゼーション溶液組成、④ハイブリダイゼーション反応時間と洗浄条件、を中心に検討して小分子RNA検出のためのFRET-ISH法の最適な条件検討を行った。その結果、通常のISH法よりも高温かつ短時間のハイブリダイゼーションで28S rRNAの検出に成功した。現在、肝臓をはじめ様々な組織・細胞で豊富に存在するmiR-122に対するFRET-miR-122プローブを作製し、ステップ①での諸条件を基にして最適化を図り、このmiR-122を組織内miRNA検出陽性コントロールの指標とすべく、解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高感度蛍光発色(Fluorescence Resonance Energy Transfer: FRET;蛍光共鳴エネルギー移動)標識した通常より短い28S rRNA検出プローブを用いてFRET-ISH法の条件を検討し、組織内での特定のmRNAの検出に成功した。 現在、microRNA-122 (miR-122)検出用プローブの作製を行い、織切片上でmiR-122の発現動態を解析中であり、研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度のFRET-ISH法用の諸条件を基にして、miR-122の組織内発現動態をラット正常肝臓組織で明らかにするとともに、今後、主に細胞増殖・分化・再生あるいはがん化など多様な生命現象に関与するmicroRNAの内、肝組織で高発現することが知られているmiR-21に対するFRET-miR-21プローブを作製し以下の研究に用いる。ステップ②のmiR-122発現は陽性コントロールとして常に用いる。ラット70%肝切除モデルを作製し、肝再生過程でのmiR-21の発現動態についてFRET-ISHで経時的に検討するとともに、増殖活性(PCNA)、IL-6、増殖因子(HGF、KGF)との関連について免疫組織化学で検討する。また、肝切除で残った左葉にエレクトロポレーションによりラットmiR-21に対するlocked nucleic acid (LNA) miRNAインヒビターを導入してmiR-21発現抑制実験を行い、miRNA制御による人為的な細胞制御の可能性を検討する予定である。
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