研究課題/領域番号 |
16K08472
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
池田 一雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80275247)
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研究分担者 |
松原 勤 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20628698)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝星細胞 / 線維化 |
研究実績の概要 |
我々は、これまで肝臓の線維化過程に中心的な役割を果たすと考えられている肝星細胞の機能、特に活性化の分子機構のメカニズム解明のため、肝星細胞分離法を確立し、この分離培養星細胞を用いて星細胞活性化に伴って変動する各種分子動態を遺伝子レベルおよび蛋白質レベルでの解析を行ってきた。 また、星細胞の活性化の制御による肝線維化、肝硬変の治療を開発することを目標に、様々な肝線維化抑制実験を行ってきた。 これまでの研究成果の集積から、我々が星細胞での発現をはじめて見いだした分子や活性化星細胞のマーカーとなる分子が、DNAアレイやプロテオミクスに代表される遺伝子解析とタンパク質解析で、発現が一致して変動することを確認してきたが、また同時にその発現が一致しない分子も認められる事実も確認している。そして、この発現の不一致に対する答えの手掛かりを示してくれるのがノンコーディングRNAの解析やエピジェネティクスに関する解析であるのではないかと考え実験を進めている。 肝線維化を引き起こす筋線維芽細胞の由来は肝星細胞であると考えられていたが、肝星細胞以外のグリソン鞘に存在する線維芽細胞や骨髄由来の細胞も筋線維芽細胞に分化し、線維化に関わっていることが明らかとなってきている。由来の異なる筋線維芽細胞は、異なった性質を持つ可能性が高く、これら同定法や由来に基づいた治療法開発への可能性を見いだすため、肝星細胞と皮膚線維芽細胞での比較を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エピジェネティクス制御の観点から肝線維化に関わる細胞を解析し、細胞の可塑性、線維化の責任細胞のオリジンを明らかにできるかどうか検討するため、特に遺伝子発現に直接関与するといわれているヒストンバリアントのchip-シークエンスにより肝星細胞と皮膚線維芽細胞の比較検討を行うこととした。ヒストンの翻訳後修飾は、遺伝子発現制御やゲノム維持に重要な役割を果たしており、特に発生や癌の研究分野でヒストン修飾やDNAメチル化を介したエピジェネティクス制御の重要性が明らかにされている。今回、遺伝子発現に直接関与すると考えられるヒストンバリアント、ヒストン2A.Zとヒストン3.3に対してChip-Seqence Assayを行った。Chip-Seqence Assayでは、培養細胞に対しホルムアルデヒドを用い、タンパク質とDNAをクロスリンクさせた後、断片化には超音波処置とMicrococal nuclease処理の両方を用いた。クロマチンの免疫沈降には、抗H2A.Z抗体、抗H3.3抗体、simple Chip Enzymatic Chromatin IP Kit (Cell Signaling)を用いた。シークエンス解析には、イルミナMiSeqをもちい、その後、統合部位のマッピングを行った。肝星細胞と皮膚線維芽細胞での比較では、肝星細胞に約10部位の特異的な結合が認められ、その意義について解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
肝臓の線維化過程に中心的な役割を果たすと考えられている肝星細胞の機能、特に活性化の分子機構のメカニズム解明のためには、肝星細胞静止期と活性化状態での比較が、重要であると思われる。そこで、マウス分離培養肝星細胞、培養2日以内の静止期の肝星細胞と培養7日目以降の肝星細胞の比較検討、 ヒト分離培養肝星細胞をもちいて静止期に近い細胞、活性化状態の細胞での比較検討を行う。そして、それぞれのヒストンバリアント局在DataとマイクロアレイData, microRNAアレイdataとの統合部位マッピング解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来、細胞株をもちいた実験と分離培養肝星細胞の実験を同時に開始する予定であったが、細胞株をもちいた実験結果の解析も大量のデータがあり、分離培養肝星細胞の実験に関しては、次年度以降とすることにした。そのために、実験動物、分離培養に関する培養器具、培養試薬に関連する消耗品費の使用が当初の予定よりも少なかったのが、次年度使用額が生じた理由です。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、当初計画と合わせて、基本的には、実験動物、培養器具、培養試薬、一般試薬等の消耗品の購入に充てます。 その他に、当初より予定の学会参加のための国内旅費と研究委託に充てる予定です。人件費、謝金に使用の計画はありません。
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