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2016 年度 実施状況報告書

サテライトグリアの亜種をマルチモダル組織化学観察によって斬る!

研究課題

研究課題/領域番号 16K08480
研究機関関西医科大学

研究代表者

山田 久夫  関西医科大学, 医学部, 教授 (00142373)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード3次元電子顕微鏡 / 組織化学3次元画像 / 質量顕微鏡 / サテライト細胞 / 髄鞘 / 細胞動態 / O4モノクローナル抗体
研究実績の概要

1)光顕組織化学画像取得後に走査電顕反射電子を利用した3次元画像取得をおこなって両者を統合させるための手技確立をおこなった。とくにarray-tomographyによる走査電顕反射電子3次元画像を得るための連続切片採取法について、改良を加え連続切片採取のための簡便器具の開発に成功、一般化して使用できるように工夫した。
2)皮質型サテライト細胞-オリゴデンドロサイト系譜の研究: 髄鞘形成細胞・オリゴデンドロサイトがもつ複合糖脂質・スルファチド類は、含まれる脂肪酸の種類が様々である。一方、オリゴデンドロサイトのマーカーとして確立されたO4モノクローナル抗体のエピトープは、髄鞘に豊富なC22やC24の脂肪酸を含むスルファチドと考えられてきたが、スルファチド合成が生化学的手法により確認できない幼若期オリゴデンドロサイトでも、この抗体によって免疫組織化学的陽性となることが、長らくこの分野の研究者にとって謎であった。この両者を解決するために質量分析および質量顕微鏡にて分子種を同定した結果、幼若期のオリゴデンドロサイトはC16やC18の脂肪酸を含むスルファチドを含有することが明らかとなった。また、O4モノクローナル抗体は脂肪酸と異なる分子内部位をエピトープとし、脂肪酸の炭素数に影響されることなくスルファチドを認識するという成果も得られた。
3)脊髄後根神経節のサテライト細胞-シュワン細胞系譜の研究: 偽単極性ニューロンのaxon-dendriteの無髄部に存在するグリア細胞は近位部から順にカルシウム依存性カリウムチャネル(Kca2.3)を持つもの、Kca2.3もOct-6も持たないもの、Oct-6をもつものに分類される。分裂能を持ったグリア細胞のうち、60-70%は遠位部に存在するOct-6陽性グリアで、約30%は近位部に存在するKca2.3含有グリア細胞であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

光顕レベル組織化学に連携させた電顕レベルの3次元解析という手技が、本計画で重要な役割を演じるため、特にこの技術・機器の改良に取り組み手技を確立した。論文公開できるほどの成果が得られたため、この公表(論文投稿)を優先しておこなった。
また、質量顕微鏡や質量分析を用いたO4モノクローナル抗体のエピトープ解析について、本計画のみならず関係領域の研究者全体におおきな前提条件を提供する知見が得られたことから、この論文執筆およびそのためのデータ取得を優先させた。
それらの結果、計画書に記載の実験系は半年程度遅れていることになるが、全体の計画自体が大きく遅れているわけではない。

今後の研究の推進方策

今後は、当初の計画通り、クプリゾン脱髄モデルなどを用い、チミジンアナログを用いた分裂細胞標識と分子マーカーの組織化学を光顕レベルでおこなったうえで、array-tomography法をおこない、3次元電顕画像を取得して観察をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

先述のように、当初計画の実験より優先させるべき成果公開に関して時間がとられたため、分裂細胞追求の実験ができなかった。つまりチミジンアナログやその抗体などの試薬類の発注時期が次年度にずれ込んだため。

次年度使用額の使用計画

当初の実験計画から一部の計画修正が出たたものの、次年度(2年目)には当初の実験計画に加えて初年度に達成できなかった実験(チミジンアナログを使用する実験)も加えておこなう。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Sulfatide species with various fatty acid chains in oligodendrocytes at different developmental stages determined by imaging mass spectrometry2017

    • 著者名/発表者名
      Hirahara Y, Wakabayashi T, Mori T, Koike T, Yao I, Tsuda M, Honke K, Gotoh H, Ono K, Yamada H
    • 雑誌名

      J Neurochem

      巻: 140 ページ: 435-450

    • DOI

      10.1111/jnc.13897

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Anti-tribbles pseudokinase 2 (TRIB2)-immunization modulates HYPOCRETIN/OREXIN neuronal functions.2017

    • 著者名/発表者名
      Tanaka S, Honda Y, Honda M, Yamada H, Honda K, Kodama T
    • 雑誌名

      Sleep

      巻: 40 ページ: ー

    • DOI

      10.1093/sleep/zsw036

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hypocretin/orexin loss changes the hypothalamic immune response.2016

    • 著者名/発表者名
      Tanaka S, Takizawa N, Honda Y, Koike T, Oe S, Toyoda H, Kodama T, Yamada H
    • 雑誌名

      Brain Behav Immun

      巻: 57 ページ: 58-67

    • DOI

      10.1016/j.bbi.2016.06.009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Novel strategy for cystitis glandularis: Oral treatment with cyclooxygenase-2 inhibitor.2016

    • 著者名/発表者名
      Takizawa N, Matsuzaki T, Yamamoto T, Mishima T, Miyasaka C, Tanaka S, Kinoshita H, Uemura Y, Yamada H, Matsuda T
    • 雑誌名

      Int J Urol

      巻: 23 ページ: 706-708

    • DOI

      10.1111/iju.13121

    • 査読あり
  • [学会発表] 膜型エストロゲン受容体のオリゴデンドロサイト細胞骨格構築への関与2017

    • 著者名/発表者名
      平原幸恵、後藤仁志、若林毅俊、森徹自、小池太郎、小野勝彦、山田久夫
    • 学会等名
      第122回日本解剖学会総会・学術集会
    • 発表場所
      長崎市、長崎大学医学部
    • 年月日
      2017-03-28 – 2017-03-30
  • [学会発表] DRGニューロン突起起始部を被うグリア細胞の分類と分布パターン2017

    • 著者名/発表者名
      小池太郎、大江総一、平原幸恵、田中進、山田久夫
    • 学会等名
      第122回日本解剖学会総会・学術集会
    • 発表場所
      長崎市、長崎大学医学部
    • 年月日
      2017-03-28 – 2017-03-30
  • [学会発表] TOF-SIMS法を用いたマウス成獣脳におけるスルファチドバリアントの局在解析2016

    • 著者名/発表者名
      平原幸恵, 小池太郎, 高森康晴, 山田久夫
    • 学会等名
      第57回日本組織細胞化学会総会・学術集会
    • 発表場所
      東京、杏林大学
    • 年月日
      2016-09-03 – 2016-09-04
  • [学会発表] 基板吊り下げ型補助具を用いた超薄連続切片回収法2016

    • 著者名/発表者名
      小池太郎, 片岡洋祐, 前田光代, 齊藤育, 高森康晴, 山田久夫
    • 学会等名
      第57回日本組織細胞化学会総会・学術集会
    • 発表場所
      東京、杏林大学
    • 年月日
      2016-09-03 – 2016-09-04
  • [学会発表] A role for estrogen receptors in morphological changes in oligodendrocyte maturation2016

    • 著者名/発表者名
      Wada-Hirahara Y, Wakabayashi T, Gotoh H, Mori T, Koike T, Ono K, Yamada H
    • 学会等名
      第39回日本神経科学大会(Neuroscience2016)
    • 発表場所
      横浜市、パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-07-20 – 2016-07-22
  • [備考] 関西医科大学解剖学第一講座ホームページ

    • URL

      http://www3.kmu.ac.jp/anat1/

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公開日: 2018-01-16  

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