研究課題/領域番号 |
16K08490
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
清水 貴浩 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (40353437)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | PKD2L1 / チャネル / 苦味 |
研究実績の概要 |
Polycystic kidney disease 2-like 1 (PKD2L1) は、味細胞に発現している電位依存性非選択性カチオンチャネルである。これまでの予備的な実験において、PKD2L1チャネルが苦味物質であるキニーネを除去することで活性化することを見出しているので、PKD2L1チャネルに対する種々の苦味物質の効果を、PKD2L1を一過性に過剰発現させたヒト胎児腎臓HEK293T細胞にホールセルパッチクランプ法を適用し、検討した。その結果、PKD2L1チャネル電流はキニーネ(30μM)とカフェイン(10 mM)の除去により有意に増加したが、デナトニウム(500μM)とベルベリン(100μM)を処理してもPKD2L1チャネル電流は変化しなかった。 in vivoにおけるPKD2L1チャネルの苦味受容における役割を明らかにするため、二瓶選択嗜好実験を行った。野生型マウスとPKD2L1ノックアウトマウスに水と30μMキニーネを含んだ溶液を提示し、2日間で摂取した総飲水量比を観測したところ、PKD2L1チャネルの発現に関わらず、これらマウスはキニーネ溶液を忌避した。次に、キニーネ溶液を飲まさせたマウスに、水とキニーネ溶液を15分間だけ提示する短時間二瓶嗜好実験を行った。この条件において、野生型マウスは水よりもキニーネ溶液を摂取する傾向が見られたが、PKD2L1ノックアウトマウスはキニーネ溶液よりも水を好んで摂取した。一方、水と500μMデナトニウム溶液を用いた短時間二瓶嗜好実験においては、野生型マウスとPKD2L1ノックアウトマウスは共に水の嗜好性が高かった。これらの結果から、PKD2L1チャネルがキニーネによる苦味受容機構に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の年度計画に沿って順調に進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、野生型マウスおよびPKD2L1ノックアウトマウスの舌から味細胞を単離することで、PKD2L1を発現しているⅢ型味細胞が苦味物質を受容するかどうかを、カルシウムイメージング法およびパッチクランプ法を用いて検討する。 またin vivo実験においては、短時間での水溶液をなめる回数およびその持続時間を解析するリック試験を行う。本試験において、野生型マウスおよびPKD2L1ノックアウトマウスにおける苦味物質のオン応答およびオフ応答がどのように影響を受けるかについて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
端数のため、次年度の経費と合算して使用した方が有益であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品費の一部として使用する。
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