平成30年度までに本研究成果により、プロテインホスファターゼ2A抑制により相性(phasic)平滑筋収縮抑制が起こり、同時にミオシン軽鎖リン酸化の抑制が 起こることが明らかになった。相性平滑筋、緊張性平滑筋においても、特異的プロテインホスファターゼ2A阻害薬rubratoxin Aの処理により 収縮が抑制され、更にミオシン軽鎖リン酸化の指標とされる収縮Caイオン感受性が低下したことから、プロテインホスファターゼ2A抑制によりミオシン軽鎖リ ン酸化が抑制され、それに伴い収縮が抑制されることが明らかになった。更に、収縮のキネティクス解析から、ミオシン軽鎖リン酸化の抑制は、ミオシン軽鎖キ ナーゼ活性の抑制によることが示唆された。一方で、ミオシン軽鎖リン酸化が十分な条件でもわずかではあるが収縮抑制がみられたことから、収縮反応の最下流 であるミオシン・アクチン相互作用そのものもプロテインホスファターゼ2Aにより制御されていることが示唆された。更に薬理学的解析から、rubratoxin Aの 収縮抑制作用は非可逆的であることが明らかになった。 平成元年度は、rubratoxin A効果の非可逆性がどの様な条件で惹起されるかを引き続き検討し、細胞質にヌクレオチドが存在することが必要であること、さらにヌクレオチド存在下でも何らかのリン酸化機構が存在しないと効果が発現しないことを明らかにした。又、X線開設実験からrubratoxin A存在下で収縮フィラメント構造配列に変化がみられることを明らかにした。
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