研究課題
先行2年間の研究により、血管内皮細胞の血管内皮増殖因子(Vascular endothelial growth factor 、VEGF)受容体制御にAGS8-Gβγの相互作用が重要であると推定された。AGS8はG蛋白βγサブユニットと会合する蛋白として同定されたが、AGS8-Gβγ複合体の形成が血管新生に必要なのか検討した。申請者らがすでに作成している、AGS8-Gβγ複合体形成を阻害するペプチド(AGS8ペプチド)を、ヒト臍帯動脈内皮細胞(Human Aortic Endothelial Cells、HUAEC)に導入した。AGS8ペプチドは、HUVECの管腔形成を阻害し、VEGFによる受容体リン酸化を抑制した。また、AGS8は他の受容体も制御するのか、内皮細胞に発現が確認されている上皮成長因子(Epidermal Growth Factor; EGF)受容体、線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factors 、FGF)受容体シグナルへの関与を検討した。HUVECのAGS8をAGS8siRNAによりノックダウンしたが、EGFによる受容体リン酸化、FGFによる細胞増殖に対する影響は観察されなかった。一方、AGS8をノックダウンすると細胞膜表面のVRGFR2受容体が減少することが明らかとなったが、その機序を解析するため、受容体インターナリゼーションを阻害する複数の薬剤を用いて検討した。インターナリゼーション阻害薬は、AGS8ノックダウンによる細胞表面の受容体減少を軽減することはなく、AGS8は受容体インターナリゼーション以外の作用点に働くと考えられた。また、新生血管動物モデルとして、マウス腸間膜を培養し、血管発達を観察した。AGS8をsiRNAによりノックダウンすると、血管発達が阻害され、AGS8による血管発達の制御が組織レベルでも観察された。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 9 ページ: 1560-1571
10.1038/s41598-018-38067-4
Journal of Pharmacological Sciences
巻: 139 ページ: 254~257
10.1016/j.jphs.2019.01.008
The FASEB Journal
巻: in press ページ: in press
10.1096/fj.201802620R
http://www.aichi-med-u.ac.jp/physio2/