Maxi-Cl(マキシアニオンチャネル)は200-500pS の大きなシングルチャネルコンダクタンスとlinear でsymmetrical なI/V関係を特徴とするアニオンチャネルである。また様々な生理学的または病態的局面においてチャネルポアを通して細胞外へのATP 放出をおこなうATP 放出性チャネルとしても知られる。本研究はマウスC127細胞において同定されたMaxi-Cl チャネルコア分子、MAC-1=SLCO2A1がMaxi-Clチャネルのポアを構成する成分であるか、それとも制御因子であるかを明らかにすることを主目的とした。また、SLCO2A1が種々の細胞において普遍的にMaxi機能(電流の発現やATP放出)を担う分子であるかを示すことも目的とした。研究機関中に種々のSLCO2A1変異分子の作成やそれらを用いた電気生理学的解析を行い、またMaxi電流の存在が報告されている細胞を含む種々の細胞株を用いて、内在性のSLCO2A1発現と電流の発生、ATP放出の間の相関性の有無等を調べてきた。これらの結果からは上記の仮説を支持するデータが得られており、そのようなデータを用いて30年度末までに論文1報(2017年The EMBO J.)を発表し2度の学会発表(2018年 第95回日本生理学会大会、2019年 第9回アジア・オセアニア生理学会連合(FAOPS)大会)を行った。また関連する内容のレビューを共著者として2報(2018年Curr. Top. Membr.、2019年Pharmacological Reviews)発表した。さらに、2020年5月に論文1報が受理された(2020年 Cell. Physiol. Biochem.)。
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