細胞外に放出されたATPは恒常性を維持するという生体にとって有益な反応を誘起する一方で、生体に不利益な反応をもたらすこともあるため、生理学的・医学的観点から広く注目されている。ATP放出性チャネルとして知られるMaxi-Clの分子機構を解明することにより、チャネルを介したATP放出による様々な生理学的・病理学的現象について分子論的な理解が深まることが期待される。医療分野においても、例えば心臓や脳における虚血-再灌流時に発生するATP放出が関与する組織のダメージ(心筋梗塞、脳梗塞)を軽減するような治療法の開発などの一助となることが期待される等、今後の研究の進展により様々な貢献が期待できる。
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