研究課題
肥大型心筋症(HCM) と拡張型心筋症(DCM) は若年者突然死頻発や重症心不全などが特徴とするので、若年期における早期診断、早期治療は関連する高死亡率を低減させることに重要である。本研究の目的は、幼若期マウスにおける病態形成プロセスの解明を進め、心筋症の早期診断法と早期予防・治療法の開発に繋げることである。1). 平成30年度S179F HCM計画の実施:ガス麻酔下で体表心電図の検査を行った。その結果、S179Fホモマウスでは、生後1ヶ月齢の若い時期でもQRS異常が認められた。ガス麻酔下でカラードップラーによる左心室拡張機能を評価した。その結果、ホモマウスでは、左心室IVRT(等容弛緩時間)の延長とE/Aの増大が認められ、生後2週齢から左心室拡張機能障害が発生することが明らかになった。また、圧容積ループ(PV loop)検査により、生後1ヶ月齢においても左心室内腔縮小、Tauの増加が認められた。また、左心室錯綜配列と線維化の発生は生後2週齢のホモマウスで既に発生することが分かった。ウエスタンブロット法による左心室タンパクレベルを解析した結果、生後2週齢のホモマウスでは、心肥大が見られなかったものの、イオンチャネルの異常、肥大因子の増加、心筋代謝の異常がすでに心筋内で発生していることが分った。2). 平成30年度ΔK210 DCM計画の実施:胎児期投与は有益かどうかを検討するため、生理活性ペプチド・グレリン(150mg/kg/day)を、妊娠している親に、妊娠15日目から出産まで、7日間連続投与した。この投与による効果は生後1ヶ月齢の時点で評価した。その結果、この投与はDCMマウスの左心室内腔拡大と心重量増加を抑制できた; また、この投与はDCMマウスの心臓収縮機能不良に対する改善効果が認められた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
Front Physiol.
巻: 9 ページ: 1-11
10.3389/fphys.2018.00696.
Am J Physiol Heart Circ Physiol.
巻: 314 ページ: H1192-H1202
10.1152/ajpheart.00696.2017.
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 496 ページ: 1250-1256
10.1016/j.bbrc.2018.01.181.
Arch Biochem Biophys.
巻: 637 ページ: 40-47
10.1016/j.abb.2017.11.009.