研究課題
昨年度までにADAMTS13のエンドサイトーシスに関与する受容体として、Sialic acid-binding Ig-like lectin 5 (SIGLEC5)を同定した。SIGLECはヒトでは15の遺伝子から構成されるファミリーを形成しており、主として白血球表面上で発現し糖鎖シアル酸を介してリガンドに結合し、免疫機能を調節していることが知られているが、われわれはADAMTS13のSIGLEC5による取り込みは細胞外HSP70同様にシアル酸非依存的であることを見出した。最終年度において、我々はSIGLEC5とヒトIgGのFcドメインとの融合タンパク質とADAMTS13が結合することをELISAを用いて示した。細胞外ドメイン他のSIGLECファミリーがADAMTS13のエンドサイトーシスに関与するかどうかを調べるために、SIGLEC3、SIGLEC5、SIGLEC9、SILGEC10、SIGLEC14を発現させた細胞において、蛍光標識したADAMTS13の取り込みを観察した。その結果、SIGLEC5とともにN末端側細胞外ドメイン配列がSIGLEC5とほぼ相同なSIGLEC14もADAMTS13の取り込みに関与することを明らかにした。マウスにはSILGEC5に相当する遺伝子が存在せずノックアウトマウスを用いた実験が不可能である。そこで生体におけるSIGLEC5によるADAMTS13クリアランスへの役割を明らかにするために、ハイドロダイナミック法を用いてヒトSIGLEC5遺伝子をマウス肝臓において発現させ血中マウスADAMTS13レベルをFRETS-VWF73法によって測定した。その結果、肝臓でのヒトSIGLEC5発現により血中ADAMTS13活性は減少した。以上の結果から、生体内でのADAMTS13クリアランスにSIGLEC5が関与する可能性が示唆された。
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