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2016 年度 実施状況報告書

神経活性化マーカー可視化技術を応用した「末梢-中枢神経」食欲調節伝達経路の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K08516
研究機関北海道大学

研究代表者

久留 和成  北海道大学, 歯学研究科, 助教 (00592081)

研究分担者 舩橋 誠  北海道大学, 歯学研究科, 教授 (80221555)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード中枢神経 / 摂食調節
研究実績の概要

小腸のL細胞から分泌されたGlucagon-like peptide-1(GLP-1)は、血流を介した液性伝達路と求心性迷走神経を介した神経性伝達路にて中枢神経作用を示すと考えられているが、各々の伝達経路がどのような神経ネットワークを形成しているかは未だ不明な点が多く、GLP-1の中枢作用を解明するには、それぞれの伝達経路の相違点や共通点を詳細に解析することが必要である。
本年度は、GLP-1の神経性伝達路の起点の1つと報告されている門脈領域に焦点を当て、GLP-1を門脈内へ投与し、神経伝達路の入力領域および神経ネットワークを脳スライス標本作成後でも生細胞の状態にて同定できる実験モデルの作成を試みた。
門脈にて受容されたGLP-1刺激は、左迷走神経を介し同側(左側)の孤束核へ入力していることから、様々な濃度のGLP-1を門脈内へ投与し、左右の孤束核における活性化を受けた神経細胞数を観察し、細胞数に左右差の生じるGLP-1濃度、すなわち神経伝達路のみを刺激するGLP-1濃度を同定した。実験には、神経活性化マーカーであるc-fosタンパクが発現した細胞のみに蛍光蛋白を発現するトランスジェニックラットを用い、蛍光陽性細胞をGLP-1投与にて修飾を受けた細胞として解析を行った。血流にて希釈される事を考慮し、様々な濃度のGLP-1投与した結果、高濃度GLP投与時は、左右の孤束核領域において、蛍光陽性細胞が多数かつ同程度に観察され、血液脳関門を欠いているとされる最後野においても蛍光陽性細胞が多数観察されたことから、最後野を介して両側の孤束核へ情報伝達が行われていることが示唆された。生理的GLP-1濃度に近づくに伴い、右側の孤束核における蛍光陽性細胞数が減少し、左右の孤束核において蛍光陽性細胞数の違いが顕著となった。
これらの実験結果から、抹消部位の刺激に対する神経ネットワークを生細胞の状態で観察可能な実験モデルが作成できたと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

門脈に投与するGLP-1の液性伝達路の影響を可能な限り排除し、神経伝達経路の影響のみを再現するため、GLP-1の門脈内投与濃度、投与量および流速等の検討を行ったが、門脈内に投与するGLP-1が血流により希釈されるために、前述のパラメータ組み合わせを決定する実験に想定以上に時間を要し、進捗状況にやや遅れが生じてしまった。

今後の研究の推進方策

末梢にて受容した刺激を、受容する中枢神経系(本申請研究においては脳幹)の細胞を生細胞の状態にて観察できる実験モデルは確立されたと考えられるため、今後は蛍光陽性細胞を指標とし電気生理学的手法および分子生物学的手法を用いて、中枢神経系へ入力後の神経ネットワークの詳細な解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

抹消部位刺激に対する神経ネットワークを生細胞の状態で観察可能な実験モデルの作成に、計画以上の時間がかかってしまっため、実験モデル作成後に行う予定であった電気生理学的手法および分子生物学的手法を用いる実験まで行うことが出来ず、次年度使用額が生じてしまった。

次年度使用額の使用計画

実験モデルは作成済みなので、実験計画の遅れを取り戻すために、電気生理学的手法および分子生物学的手法を用いた実験に使用する計画である。

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公開日: 2018-01-16  

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