研究課題
体内時計は、生物の多様な生命現象に観察される日周変動であり、生体の個々の細胞に内在する細胞時計により構成される。脊椎動物の細胞時計の実体は、CLOCK、BMAL、CRY、PERの時計蛋白質により制御されるフィードバックループである。CLOCK:BMAL二量体蛋白質はCryとPer遺伝子の転写を活性化し、CRYとPERはこの二量体の転写能を抑制する。この転写の活性化と抑制は、約24時間の周期で繰り返される。その結果、CLOCK:BMAL二量体蛋白質が調節する時計標的遺伝子の発現とその遺伝子産物が制御する行動、代謝、体温等の多様な生命現象に概日リズムが形成される。興味深いことに、細胞時計は生物の初期胚には存在せず、個体発生に伴い組織・器官を構成する個々の細胞内に形成されていく。細胞時計が、組織・器官内で互いに同調すると、行動等の生命現象に概日リズムが形成される。個体発生に伴う細胞時計および体内時計の形成についての理解は進んでおらず、その分子機構の解明は生体リズム研究領域の重要な課題となっている。本研究は、哺乳動物と共通の体内時計制御機構を有するゼブラフィッシュを用いて、課題1:生体組織内で細胞時計が互いに同調する機構と、課題 2:個体発生に伴い細胞時計が形成される機構を解明することを目的とした。課題1に関しては、発生期に光依存的に細胞時計を組織内同調させる3つの光誘導性の細胞時計構成分子を同定することに成功した(Hirayama J et al. Sci. Rep 2019)。また、課題2に関しては、化合物ライブラリーを用いたスクリーニングにより、発生期の細胞時計の形成を担い得る細胞内シグナル経路の候補を複数同定した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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