下垂体前葉プロラクチン産生細胞(PRL細胞)への遺伝子導入法は、アデノウィルスベクターを用いた方法で行ってきた。この方法を用いた理由は、初代培養細胞でも高効率に遺伝子導入が可能であるためである。しかし、ウィルスの調整に多大な労力が必要であり、複数の遺伝子の導入を調べるためには効率が悪い。 そこで、トランスフェクション試薬(Lipofectamine MessengerMAX)を用いて、PRL初代培養細胞にEGFP mRNAをトランスフェクションしてEGFPの発現を調べた。その結果、高効率にEGFPの発現を確認し、細胞毒性も見られなかった。 EGFPを発現させて、IGF-1の増殖促進作用、またE2の増殖抑制作用が見られるかを調べたところ、トランスフェクションしていないPRL細胞と同様に増殖促進作用、および抑制作用ともみられることを確認した。 以上の結果より、PRL初代培養細胞でもトランスフェクション試薬を用いることで高効率に遺伝子導入が可能であり、さらに増殖変化の解析にも影響はないことが示唆された。
|