研究課題
基盤研究(C)
腫瘍低酸素とホスト個体リズムの関連を知るためにまずマウス個体に様々な時間帯に低酸素を暴露し概日リズムの変化を評価した。リズムの反応は休息期(明期)の低酸素が最も強く低酸素暴露に続く活動期(暗期)の活動量の低下と活動終了期の活動量の上昇という2相性の反応であった。この反応は時計遺伝子に依存しない波様の反応が活動期に重なることで生じることが分かった。また休息期低酸素によって脳内で上昇する睡眠関連物質がこの波様の反応に関与していること、そして休息期低酸素で誘導される別の因子がこの波様の反応に対抗することが明らかとなった。
時間生物学
休息期の低酸素により行動の2相性の変化、波様反応が起こることを初めて明らかにした。これは休息期の低酸素による病態(睡眠時無呼吸症候群、高山病の睡眠後の悪化)を理解するために有用である。特に治療抵抗性である睡眠時無呼吸症候群(Co-Morbid Insomnia and Sleep Apnea, COMISA)ではマウスの行動に対応した昼間の強い眠気と夜間の不眠が起こることから我々の研究結果から得られる示唆が多いと思われる。