①PLAGL1のオレキシンニューロンでの発現頻度に変化の見られた高脂肪食群に関して定量PCRをおこない、実際のオレキシンとPLAGL1の遺伝子発現にも変化があることを確認した。 ②レポーターアッセイをおこない、オレキシン遺伝子上流発現制御領域のPLAGL1への反応性を確認し、PLAGL1結合motifを欠損させることによりその反応性が消失することを確認した。Chip-PCRの結果と合わせて、このPLAGL1結合配列を介してPLAGL1がオレキシンの転写制御をおこなっていることが考えられた。 ③胎生14日と胎生18日のマウス胎児視床下部でのPLAGL1のオレキシンニューロンでの発現頻度を検討した結果、胎生18日での有意な増加を認め、胎生期オレキシン発現へのPLAGL1の関与が示唆された。 ④子宮内電気穿孔法によるPLAGL1過剰発現マウスを作成し、その視床下部での発現変化を検討した。過剰発現によるPLAGL1、オレキシンの有意な増加を認めた。さらに、オレキシンニューロン近傍に存在するMCH、オレキシンニューロンに共発現するダイノルフィン、オレキシンニューロンと直接相互作用するTRH、オキシトシンの有意な発現変化を確認した。 結論として、本研究はオレキシン転写調節におけるPLAGL1の関与を明らかにした。しかしながら、PLAGL1発現は視床下部の他の領域においても観察される。したがって、PLAGL1がオレキシン発現に直接または間接的に影響を与えるかどうかを明らかにするために、Plagl1コンディショナルノックアウトマウスおよびオレキシンプロモーター-Creマウスとのクロスハイブリダイゼーションを用いたさらなる検討が必要である。
|